タイもキャッシュレスの時代になって安全性と利便性が高まっていく

タイもキャッシュレスの時代になって安全性と利便性が高まっていく

私はタイのアユタヤ銀行とサイアム商業銀行に口座を持っていたのだが、長らくタイにも行かなくなったので、アユタヤ銀行の口座から全額引き下ろしてサイアム商業銀行のみを生かして今も使っている。

すでにタイを最後に訪れたのはいつだったのか覚えていないくらい昔なのだが、今はインターネットで口座の残高を管理できるので現地にいなくてもまったく困っていない。

私は途上国のATMをまったく信じていなかったので、20年ほど前は100%現金主義だった。

クレジットカードは落とした時やトラブルが起きたときの対処が面倒なので絶対に使わない。

私は普通の旅行者とは違い、真夜中に活動する。真夜中は危険な時間だ。過剰請求やスキミングや盗難のことを考えると、クレジットカードは持っていても使わない方がいいのは当然のことだ。

それに真夜中の世界は現金主義なので、どのみちクレジットカードなんか使えない。現金がモノを言う。

ただ、現金は現金でいろんな問題があるのは事実だ。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

クレジットカードも現金も良い解決方法ではない

現金はとにかく盗まれやすいし、失くしやすい。おまけに現地では慣れていないこともあって、偽札や偽硬貨をつかまされてもすぐに気付けない。

現金を財布に入れておくと、まるでマジックのように札が消えていることもしばしばある。

現金は無防備であまりにも消失トラブルが多いので、私は国外に出ると決して現金を一箇所に持たず、あちこちに分散してどれかが盗まれても致命傷にならないようにする癖ができてしまった。

インド圏では部屋に金を隠していても従業員が勝手に部屋に入って荷物を物色するので、私はいかに現金を隠すのかに腐心するようにもなっていた。(旅の中で現金をどう隠すか(1)秘伝の「財布」を公開

私はインド圏のホテルはどんなに見てくれが立派だろうが、絶対に信用しないことにしている。(ブラックアジア:旅の中で現金をどう隠すか(2)インドではここまでする

被害妄想でやっているのではない。本当に旅の中で盗まれ続けたからこそ、このようになってしまった。クレジットカードも現金も、本当は良い解決方法ではない。

その点、東南アジアでもタイは安心度が違う。

いつの頃からだったか、タイでは現地に銀行口座を作って余分な現金はすべて口座に入れておき、毎日キャッシュカードで必要額を朝に引き出すという管理に変えていた。

キャッシュカードだと引き落とした分は、その場で口座に反映するので精神的にも安心だ。きちんと正確な請求額がくるのか後にならないと分からないクレジットカードとはまったく性質が違う。

これで私はキャッシュカード一枚をきちんと隠しておけば現金を全部盗まれて路頭に迷う心配が消えた。少なくともタイはそのような理想的な環境になった。

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スマートフォンよりも、ボロボロの紙幣に愛着を持つ

最近、このタイで我がサイアム商業銀行がフィンテックに向けて舵を取るという報道を見た。いよいよ、タイもキャッシュレスに向かって進み出したのだ。

当然だが、現在は全世界が合理化の点でキャッシュレスに向かっており、紙幣や硬貨を扱っている銀行は、それを扱わない新興のフィンテック企業に決済機能を持っていかれてジリ貧になるのは目に見えている。

サイアム商業銀行もキャッシュレスとインターネットと融合した決済(フィンテック)に舵を切ったのは、合理化に対応しないと時代に遅れて経営崩壊してしまうからだ。

タイ政府もまた流通と管理に莫大なコストがかかる紙幣や硬貨からの脱却を望んでおり、「PromptPay(プロンプトペイ)」を稼働させた。

このプロンプトペイは政府主導なのでタイの全金融機関が統一決済システムとして取り入れているわけで、やっていることは日本よりも進んでいる。

すでに登録者は4000万人にのぼっていると報告されている。

ただし、政府や銀行が「上からの号令」でキャッシュレスを押し付けても、人々の意識は急に右から左にキャッシュレスに切り替わるわけではない。

日本もそうだが、タイも高齢層は相変わらず現金主義を貫くのは想像できる。スマートフォンよりも、ボロボロの紙幣に愛着を持つ。(ダークネス:次の時代はないのか? 日本は「時代遅れの毒」が回っている

そのため、今後もタイは現金が姿を消すことはなく、社会はキャッシュレスと現金処理のまだら模様になっていく。いずれはキャッシュレスに収斂していくが、一筋縄ではいかない。

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日本の銀行口座に紐付いたデビットカードを使う?

プロンプトペイはQRコードをスマホで読み取るだけで銀行口座から代金が引き落とされるので便利だ。

しかし、「なぜ、そんな仕組みで決済ができるのか」が理解できなくて、現金の手渡しの方が安心できるという人は意識を変えない。

また、短期滞在の旅行者も短期の滞在のためにわざわざタイで銀行口座を開いてプロンプトペイを使える環境を整えるような面倒なことはしたくない。

そして、私はどのみち真夜中の世界では現金が主力になるので、結局は現金から離れられない。

そのため、次にタイに行った時に試したいと思っているのは、実は日本で作ったデビットカードをそのままタイに持っていって、ATMに突っ込んでタイバーツを引き出すというものだ。

私は日本のいくつかの都銀に口座を持っているのだが、その中で三菱UFJ銀行の「VISAデビット」を試してみたいと思っている。

デビットカードは、クレジットカードとは違って「使えるのは口座残高の範囲内で、使ったら即時に口座から引き落とされる」というものだ。

その銀行がデビットカードを発行しているのであれば、口座を持っていれば、ほとんど誰でもデビットカードが持てる。

日本で作って日本円でしか預金されていない口座に紐付いたこのデビットカードを、タイのVISAが使えるATMに突っ込んだら、タイの通貨であるバーツが降ろせる。

クレジットカードでできていたことが、デビットカードでもできる。何の準備もしなくても、キャッシュカードのように現金が降ろせる「はず」なのだ。

そうなれば、もう日本円を持っていってマネーエクスチェンジの窓口を探すようなこともしなくてもいい。

仮にデビットカードを落としたり盗まれたりしても、インターネットで使用制限額をかけられるので大した被害額にはならないのでクレジットカードより安全であると言える。

利便性と安全性はより高まる。

ただし、三菱UFJ銀行の「VISAデビット」が本当にタイのそこらにあるVASAでもOKのATMで使えるかどうかは試していないので、機会があったら試してみたいと思っている。面白い時代になったものだ。(written by 鈴木傾城)

タイの歓楽街パタヤにあるアユタヤ銀行。この銀行には世話になったが、タイに行かなくなったので口座からすべてを引き出して空にした。口座はまだ生きていると思うが、もう使っていない。右下にATMの機械が見える。

タイはこのようなATMが山のようにある。どれでも好きなATMを使える。三菱UFJ銀行の「VISAデビット」はVISAのマークがあるのを確認してカードを入れれば、普通に使える「はず」なので機会があれば試してみたい。

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