依存症になりやすい7つのタイプ。それはあまりにも普遍的だから普通の人が落ちるのだ

依存症になりやすい7つのタイプ。それはあまりにも普遍的だから普通の人が落ちるのだ

依存症に落ちた本人は「自分は病気ではない」と信じ込んでいる。まわりも依存者を見て、その人の性格だと考える。「そんな性格だから落伍者になる。自業自得だ」と嫌悪する。依存症は「普通の人がなってしまう病気」であるとは思わず、性格のせいにしてしまうのである。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019、2020年2連覇で『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

彼らは普通の人だったにも関わらず生活破綻に見舞われた

どん底に落ちた養分たち〜パチンコ依存症はいかに破滅していくか?』で、何人ものギャンブル依存症の人を取材したのだが、彼らはあからさまに異常者だとか社会不適合者であったわけではない。

みんな「普通の人」だった。失職してしまった人もいたが、依存症になる前はきちんと働いて犯罪を犯すこともなく日常を生きていた。結婚して子供がいて安定した仕事もあって、絵に描いたような「普通の暮らし」をしていた。

ギャンブル依存症にならなければ、彼らは良き市民として今も普通の暮らしを全うしていたはずだ。

そういう点で言うと、取材している私の方がむしろ普通ではない生き方をしていたとも言える。働きもしないで東南アジアに沈没していたり、スラムや歓楽街や売春地帯でアンダーグラウンドの人たちと付き合って生きていたのだ。

較べてみると、インタビューしている私の方が社会不適合者である。

しかし、幸いなことに私はギャンブル依存症にもならず、アルコール依存症にもならず、ドラッグ依存症にもならないで過ごしてきたので生活破綻は免れている。彼らは普通の人だったにも関わらず、依存症になって生活破綻に見舞われている。

誰でもふとした弾みで何らかの依存に落ちて「普通の人を破綻させていく」のだと改めて思い知らされたのが『どん底に落ちた養分たち』での取材だった。

依存の対象が何にしろ、「依存の沼」に落ちて這い上がれなくなると人生はいとも簡単に壊れてしまうのである。

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依存症は、紛れもなく精神的な病気のひとつ

依存はあなたも私も他人事ではない。人は誰もが何らかの執着があったり、どうしても譲れないものがあったり、のめりこんでしまうものが出てくる。誰もが1つや2つはそういったものを持っている。

それ自体は別に病気でもない。勉強や研究や仕事にのめり込んで、人生を成功させる人もいるのだから、のめり込むこと自体は悪いことばかりではないし、社会に役立つのめり込みを追求するのもひとつの生き方でもある。

しかし、人は往々にしてのめり込む対象を間違うのだ。

どうせのめり込むのであれば勉強にのめり込むとか仕事にのめり込むとか何らかの有益な活動にのめり込むとかしていれば社会から称賛される人になっていたはずなのだが、人の関心はきまぐれで社会に良いからとのめり込むことはできない。

むしろ、「のめり込んではいけない」というものにのめり込む人の方が多い。ギャンブル依存症はまさにそうした依存のひとつである。のめり込んだら生活が破綻する可能性が高いリスクが高いものなのに、一直線に落ちていくのである。

有害な対象に依存すると、まぎれもなく生活の質を下げる。自分の生活が破壊されるのでやめるべきである。それは治さなければならないものだ。

しかし、依存症は本人自身が自分から治したいという気持ちになることは少ない。本人は「自分は病気ではない」と固く信じ込んでいるからだ。面白いことに、まわりも依存者を見て依存者の「性格」だと考えてしまう。

「そんな性格だから落伍者になる。ダメな奴だ。自業自得だ、自己責任だ」と嫌悪する。依存症は「普通の人がなってしまう病気」であるとは思わず、性格のせいにしてしまうのである。

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自分は「それがやりたいだけの正常者」と頑なに思う依存者

本人は自分が病気だと認識せず、「ただそれがやりたいだけの正常者」と頑なに思っている。まわりはまわりで「あの人は人生の落伍者だ」と思う。

したがって、両方が「病気だ」と感じる頃には、すでに依存症は相当なレベルにまで進んでいる。それが故に、依存症の治療を始めたとしても、すでに精神依存・肉体依存がかなり進んでいて、依存から抜け出せない可能性も高くなる。

タガが外れた状態になったまま対象に取り憑かれた依存者を止めるのは難しい。依存の対象が何であったとしても、依存を止めるというのはそれ自体が依存者にとって耐え難い苦痛になってしまうのだ。

本当は依存する前に自分で自分の行いを注意できればいいのだが、越えてはならない一線を越えてしまう人は後を絶たない。

依存症になりやすいタイプがある。以下の7つの項目のいくつかを重複して持っている人は、特に気を付けた方がいい。

1. ストレスがたまりやすい人。
2. こだわりが強い人。
3. 物事を深く考えない人。
4. プライドの強い人。
5. 自信過剰の人。
6. うつ傾向が強い人。
7. 甘えの強い人。

自分に当てはまっているものがあると驚く人もいるかもしれないが、実のところ、誰もがいくつかの項目を持っていてもおかしくない。それほど普遍的なものだ。

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誰もが依存症になりやすい項目を持っている

ギャンブル依存症の人はその多くが自分の人生に不満やストレスを持っている人であるとも言える。しかし、現代人でストレスフリーで生きている人は逆に少ないのではないだろうか。

ギャンブル依存症に深く落ちた人もストレスがあったからこそ「パチンコで金を稼げないだろうか」「競馬で金を稼げないだろうか」「うまい話はないだろうか」とギャンブルに引き寄せられたのだとも言える。

これは、誰もが何らかの依存症になる可能性があるということであり、誰もが油断できない時代になっているということでもある。

依存症に性別の区別はない。女性の依存症も増えている。私は『どん底に落ちた養分たち』を書くまで女性でパチンコにのめり込む人は少ないのではないかと勘違いしていたが、パチンコホールに行ったら女性も当たり前にいた。当然、女性の依存者も存在する。

女性の社会進出が当たり前になって、女性もまたストレスを溜めやすい状態になっている。夫婦関係、育児、家庭問題、人間関係と共に、最もストレスが溜まりやすい「仕事の問題」まで抱えることになるのだ。

その結果、ストレスがどんどん溜まっていき、やがて精神的なバランスを崩してしまう。ストレス解消のために、アルコールに逃れる女性もいれば、買い物に逃げる女性もいる。あるいは、パチンコのようなギャンブルに逃れる女性も出てくる。

今後、女性の社会進出はもっと増えるので、女性の依存症患者はさらに増えていくことになるのだろう。一度、依存症に落ちて暴走してしまうと、もう自分で引き返せなくなって、人生が破綻するまで転がり落ちていく。

依存症になりやすい7つの性格は、誰もが持ち合わせているのだから、自分だけは依存症とは関係ないと考えるより、自分も気を付けなければ危ないと考えた方がいい。誰でもふとした弾みに依存症に落ちていく……。

どん底に落ちた養分たち
『どん底に落ちた養分たち――パチンコ依存者はいかに破滅していくか(鈴木 傾城)』

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