コロナによって人々はステイホームを要請されて、今まで外を出歩いていた人たちが自宅にいる時間が増えた。仕事に関してもホワイトワーカーはリモートワークやテレワークをするようになって、ますます自宅にいる時間が増えた。
その結果、夫婦仲が良くなったという家庭もあれば、逆に四六時中顔を付き合わせることで些細な諍《いさか》いが増えて夫婦仲が悪化したという家庭もある。どちらに転ぶのかはそれぞれだが、夫婦仲が悪化していくとその先にはDV(家庭内暴力)も起こるようになっていく。
実際、コロナによるステイホームの中、全世界でDV(家庭内暴力)が増えたという事例が次々と報告されるようになっていった。日本はどうか。日本でもDVは過去最多となったと内閣府は報告している。
配偶者暴力相談支援センターやDV相談プラスに寄せられた相談件数は総数で13万2355件だった。実際には言葉の暴力を浴びせられても相談などしないで泣き寝入りする被害者も多いわけで、実態は相談件数の10倍以上あるのではないかというのが関係者の推測だ。
だとしたら、約132万人はDVで苦しむようになったということである。
DVの犠牲者は往々にして妻の方になるが、コロナ禍のDVが深刻なのは、ステイホームが強要され、暴力を振るう夫がずっと自宅にいるので女性に逃げ場がなくなってしまうことである。
夫婦の仲が冷めている仲でずっと一緒にいると、溝が埋まっていくのではなく、ますます深い亀裂を生み出すことになるのがコロナ禍のステイホームでも窺える。
ところで、そんな「ステイホームの強要」によって夫婦は同じ家にずっといることになるのだから、不倫は減るはずだと考えるのが普通だ。
実際はどうだったのだろうか……。