タイ・ワチラロンコン国王の引き起こすトラブルで王室の権威は傷ついていく?

タイ・ワチラロンコン国王の引き起こすトラブルで王室の権威は傷ついていく?

2016年10月13日、バンコク市内のシリラート病院で、タイのプミポン・アドゥンヤデート国王が崩御したのだが、その後を継いだのがワチラロンコン皇太子だった。

ワチラロンコンは新国王に即位するのを渋って国王即位の承認手続きも延ばし続け、戴冠式も2019年にやっと行われるほどだった。

プミポン国王があまりにも立派すぎて自分が国王になる器ではないと自覚していたのか、それとも国王みたいな「面倒くさい立場」になるよりも、ドイツで愛人と一緒に好きに暮らす方が自分に合っていると思ったのかは定かではない。

現在でも、ワチラロンコン国王はタイに在住せずにドイツに居住し、国王としての儀式があれば、その都度タイに戻ってくるスタイルを取っている。

客観的に見ると、ワチラロンコン国王は「仕方なく国王をやっている」ように見受けられる。

ドイツでは、愛人と一緒にショッピングモールで買い物をしている場面をたまに撮られたりして、その品のなさが問題になっているが、ワチラロンコン国王にとってはそちらの方が本当の自分なのだろう。

ある意味、ワチラロンコン国王は実に人間くさい国王でもある。

そんな国王でも、国民は無条件にワチラロンコン国王を敬愛し、王室を深く奉っている。タイでは不敬罪が今もきっちりと機能しており、ワチラロンコン国王のこうした側面を暴いた者は逮捕されるのである。

この文章がタイ語で紹介されたら、私も不敬罪でタイに入れなくなるだろう。(鈴木傾城)

プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

ワチラロンコン国王

ワチラロンコン国王。国民は無条件にワチラロンコン国王を敬愛し、王室を深く奉っている。タイでは不敬罪が今もきっちりと機能している。

「これが未来の国王なのか」と愕然とする人々

ワチラロンコンは、3度も結婚して愛人も多数いる。最初の結婚は母方の従姉妹が相手だったが、これは両親が勝手に決めた結婚だったので、もともとワチラロンコンには愛がなかった。

そのため、ふたりの結婚は数年で破綻して、ワチラロンコンは自分が気に入った二番目の妻と王宮の外で勝手に暮らしはじめてしまうのだった。その二番目の妻というのが、元女優ユワティダー・ポンプラスートだった。

しかし、彼女が王室での生活にまったく馴染めなかったため、やがて関係が冷却していきこの結婚も破綻した。彼女が生んだワチラロンコンの子供たちはみんな王位継承権を剥奪され、さらにワチラロンコンはこの子供たちの親権も放棄した。

つまり、彼女を子供ごと捨てたということになる。ユワティダー・ポンプラスートはタイにいられなくなり、改名してアメリカでひっそりと暮らしている。

ワチラロンコンが二番目の妻を放り出して手に入れたのは、シーラット・スワディーという美しきダンサーだった。ワチラロンコンは彼女がいたく気に入っていたのだが、ある時どんでもないスキャンダルが発覚した。

彼女がパーティーの時に公衆の面前で真っ裸で踊っていたり、くつろいでいる動画がインターネットで出回ってしまったのだ。これがタイ国民はもちろんのこと、全世界が見られるようになっていた。

王室始まって以来の驚愕の事態でもあった。

さらにその後、彼女とワチラロンコンがドイツに向かうために空港に寄った時の写真もパパラッチされたのだが、なんとワチラロンコンとシーラットはジーンズにヘソ出し姿のタンクトップのサンダルで、さらにワチラロンコンの背中や腕には、大きなタトゥーが入っていたのだった。(ブラックアジア:タイのプミポン国王が崩御して王室の権威は崩壊するのか?

「これが未来の国王なのか」とタイの保守層は愕然とし、さらに世界中が未来の国王であるワチラロンコンを嘲笑の目で見るようになった。

ワチラロンコン国王と、シーラット・スワディー。
ワチラロンコン国王と、スティダー・ワチラロンコン・ナ・アユタヤ。
ワチラロンコン国王と、シニーナート・ウォンバジラパクディ。

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心が王室から離れていく結果を招く

結局、ワチラロンコンは彼女とも離婚してしまう。そして、どうなったのか。ワチラロンコンは今度はスティダー・ワチラロンコン・ナ・アユタヤという女性と結婚することになった。彼女はタイ国際航空のCA(キャビンアテンダント)だった。

結婚したのは2019年5月1日。ワチラロンコンが国王の戴冠式に臨む3日前の結婚だった。これでワチラロンコンは落ち着くのかと思ったら、まったくそうではなかった。

正式な妻を迎えながら、今度はシニーナート・ウォンバジラパクディという数年前から知り合っていた元看護師の愛人を正式な側室(そくしつ)にしたのだった。それが2019年7月28日のことだ。

側室というのは、言って見れば「妾」のことである。ただの妾ではなく、王室が公認した妾である。それが側室だ。

ところが、それから3ヶ月も経たないうちに、今度は彼女のすべての称号を剥奪するという事態になって、再びタイ王室はスキャンダルにまみれた。この側室の身分であったシニーナートが、結婚を妨害したり国王に反抗的な態度を取るようになって収拾がつかなくなってしまった。

結局、彼女は「国家と王室に対する破壊行為を行っている」と激しく糾弾されて、今まで与えられていたすべての称号や階級を剥奪されて王室から追い出されたのだった。

ワチラロンコン国王は自由気ままに結婚したり愛人を作ったり外国で奔放に生活することで、国王になってからタイ王室の権威をボロボロに傷つけてしまっている。実は、他にもその言動でトラブルやスキャンダルが多い。多くが揉み消されているのだが国民には漏れ伝わっている。

こうしたスキャンダルの積み重ねは、プミポン前国王の築き上げてきた王室の権威を少しずつ毀損していき、国民は国王に失望し、心が王室から離れていく結果を招く可能性がある。

言うまでもないが王室が乱れると、王室を中心として結束している国が弱体化したとしても不思議ではない。上が乱れれば下も乱れるのである。タイを愛するひとりの元旅人として、タイの行く末を見守りたい。

『バンコク売春地帯: 私の人生を奪っていたあの場所を静かに回想する(鈴木傾城)』

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