少女爆弾。ボコ・ハラムに拉致された少女が自爆していく

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ナイジェリアのテロ組織「ボコ・ハラム」は2014年4月14日に少女270人を拉致したことで国際的に知られるようになった組織である。

2002年に設立されたこの組織は典型的なイスラム原理主義のテロ組織であり、そもそも組織名の「ボコ・ハラム」も「西洋の教育は邪悪」という意味で付けられている。

この組織が言う「正しい教育」というのはイスラム法に則った教育であり、男女平等や、女性の自由や、民主主義などは完全に間違った教育であるという立場を取っている。

だから女性を教育している女子学校は邪悪であり、それは襲撃されて潰される必要があって、さらに女子学校で間違った教育を受けていた女子生徒たちはイスラム法で「再教育」される必要があるとボコ・ハラムは考えた。

そこで起きたのが、2014年4月14日の少女270人拉致事件なのである。(ブラックアジア:ナイジェリアの少女270名拉致事件でボコ・ハラムが犯行声明

この「女子学校は邪悪」「女性に教育を与えるべきではない」という思想はタリバンも完全に同意見である。

だからタリバンが支配するアフガニスタン一帯や、パキスタンの一部地域では女性が教育を受けられないような社会風土になっている。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

アブバカル・シェカウという頭の切れるテロリスト

テロ組織「ボコ・ハラム」の現在の指導者は、アブバカル・シェカウである。

2002年からボコ・ハラムを率いていたモハメド・ユスフは2009年に脱獄に失敗して銃撃戦で蜂の巣になり、後頭部が割れて脳髄を吹き飛ばしながら死んでいった。

モハメド・ユスフの銃撃戦後の死体はブラックアジアにも収めている。(ブラックアジア:アフリカの眠れる時限爆弾。ナイジェリアは混乱国家の典型

これによってボコ・ハラムは壊滅するかに思えたが、その後を引き継いだモハメド・ユスフは、着実に組織を建て直し、多くの戦闘員を引き寄せて組織を拡大していった。

アブバカル・シェカウは、ただのテロリストではない。この男は集団を統率するカリスマがあり、能力があり、権力がある。そして恐ろしいほど頭が切れる人物だ。

普通ではないからこそ、十数年に渡ってナイジェリア政府や国民や国際世論を敵に回して存続できたのだ。

ボコ・ハラムが拠点を置いていたのはナイジェリア北東部のサンビサ森林地帯だが、ここは約1300平方キロに及ぶ広大な森林で、無政府国家チャドとの国境も近い。

ナイジェリアはアフリカでも有数の経済発展国なのだが、政府は脆弱でその影響力は北東部に及んでいない。だから、この地区の住民たちは首都を中心とした経済発展から置き去りにされて深い貧困の中にある。

普通に生きていては、何も得ることはない。金も欲しい女も一生手に入らない。

しかし、ある時ボコ・ハラムという暴力組織がやってきて「組織に入ればやりたいように生きられる。入らなければここで殺されるか一生貧乏で死ね」と言われて選択を迫られる。

ボコ・ハラムの手元には「若い女たち」がいる。ボコ・ハラムに入れば、彼女たちの誰かを「結婚」という形で所有することができるようになる。

ボコ・ハラムの勧誘を断って死んだり脅されたりするくらいなら、自らボコ・ハラムの戦闘員となって「万一の僥倖」に賭けた方がいいと男たちは思う。

ボコ・ハラムに拉致された少女が引き起こした自爆テロの現場。ナイジェリアで起きている自爆テロの4分の3は少女が引き起こしている。
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「教育は邪悪だ」というポリシーの裏側にあるもの

アブバカル・シェカウはそうやって戦闘員を拡充させていき、組織を拡大していった。

拉致した少女は、アブバカル・シェカウにとっては性奴隷であり、組織拡充のカードであり、武器と交換できるモノであり、捕虜と交換できる人質であり、さらに自爆テロに使うためのコマであった。

拉致した少女はあらゆる方向で使える。だから、アブバカル・シェカウは徹底的に少女を利用することで組織拡充するシステムを構築したのである。

ボコ・ハラムは「教育を受けている少女は邪悪だ」というポリシーで少女拉致を続けていると考えている人が多いが、それは一面であってすべてではない。

アブバカル・シェカウのやっていることを見ると、実態はもっと複雑であることが分かる。

掲げているポリシーはただの建前であり、実際にはボコ・ハラムという組織を拡大させるための物資という位置付けを持っているのだ。

ところで、少女と言っても拉致された少女にも意志がある。逃げたい、抵抗したい、外部と連絡を取りたいと望む。しかし、それは叶わない。

まず最初に、彼女たちの意志は暴力によって徹底的に押さえ付けられる。抵抗する少女は、見せしめに殺され、残った少女には恐怖を植え付けて服従を強制させる。

水や食料や清潔さは満足に与えられない。

彼女たちの正常な判断力を奪うために、時にはドラッグを与えて意識を混濁させ、そこにボコ・ハラムの都合の良い思想が洗脳教育で植え付けられる。

カルト教団が信者を洗脳するのと同様の環境が、奇しくもそこに揃っている。(ダークネス:これが洗脳(マインド・コントロール)で使われる手法だ!

拉致した少女は、アブバカル・シェカウにとっては性奴隷であり、組織拡充のカードであり、武器と交換できるモノであり、捕虜と交換できる人質であり、さらに自爆テロに使うためのコマであった。

テロを活発化させて組織の立て直しを図っている

ボコ・ハラムが拉致した少女が、次々と自爆テロを実行している。ナイジェリアの自爆テロの4分の3は、今や少女が実行犯である。

少女たちは自爆ベルトを身体に巻き付けられて、ボコ・ハラムの戦闘員の言うがままに人混みや政府の建物や軍隊の駐屯地などに赴いて、そこで自爆テロをする。

爆弾で吹き飛んだ少女や、凄惨なテロの現場は以前にもブラックアジアで紹介した。(ブラックアジア:ナイジェリアの自爆テロ、4分の3は少女がさせられている

身体が吹き飛んでなくなっているのに、ちぎれ飛んだ首はとても平穏な顔をして、まるで寝ているかのように見えるのが印象的だった。

こうした少女の自爆テロは、今も続いている。そのため、雑踏の中に紛れ込んでいる少女を見ると、人々は恐怖を感じて少女を避けるようになっている。

戦闘員が遠隔でスイッチを押すこともあるが、大抵は少女が人混みで自ら起爆スイッチを押して死んでいく。

中には自分が自爆ベルトを巻かれていることを訴えて必死に助けを求めて間一髪で助かった少女もいるのだが、ほとんどの少女はそうではない。自分の手で起爆して死ぬ。

なぜなのか。

それは、極限の中で「洗脳」されてしまったからだ。「死んだら天国にいける」とボコ・ハラムは少女をドラッグ漬けにした中で延々と洗脳している。

あるいは恐怖と疲労で思考能力が失われ、言われるがままの操り人間となって正常な思考能力が喪失している。

疲れ果てた少女は、この世の地獄から逃れたいと思って「少女爆弾」と化す。

そして、少女の身体は吹き飛んでいき、ボコ・ハラムに対する恐怖は否が応でも人々の心に刻み混まれることになり、アブバカル・シェカウは支配力を強化する。

ボコ・ハラムはアメリカ軍も参加した掃討作戦で拠点を失ったが、何度も何度も死んだと言われているアブバカル・シェカウは報道を嘲笑うかのように演説ビデオで健在を示し、テロを活発化させて組織の立て直しを図っている。

アブバカル・シェカウは悪運が強いだけでなく、頭も切れる危険なテロリストだ。少女を組織のコマとしか思っていないこの極悪な男は、一刻も早くこの世から抹殺されるのを私は願っている。(written by 鈴木傾城)

アブバカル・シェカウ。ボコ・ハラムはアメリカ軍も参加した掃討作戦で拠点を失ったが、何度も何度も死んだと言われているアブバカル・シェカウは報道を嘲笑うかのように演説ビデオで健在を示し、テロを活発化させて組織の立て直しを図っている。
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