私のまわりは3種類の男に分かれていた。1つはまったく格好に頓着せずボロを着て平然としている男。別の1つはやたらと格好にこだわって派手も奇抜も厭わない男。
そしてもう1つはそのどちらにも属さず、ごく普通の格好をしている男だ。
私は今までまったく自分の格好にこだわったことがなかったのだが、あまりにも格好が惨めだとまわりが相手にしてくれないので避けた。逆にあまりにも格好を飾るのも金がかかる上に金目当ての人間が寄りつくので避けた。
つまり、私は「普通の格好」を意図的に選択した。今でもその傾向は変わっていない。
私にとって服装とはサイズが合って常識的なものであればそれで充分だった。それ以外のものを着ようと思ったことは一度もない。
ブランドにこだわったこともなければ、奇抜な格好、派手な格好、目立つ格好をしたいと思ったこともない。客観的に見ると、私は自分の外観には関心がないタイプであると言える。
私の長年に渡る傾向は恐らくこれからも変わらないし、無理しても必ず元の「普通」に戻ってしまうだろう。(鈴木傾城)