男と女の意識の違いを如実に示すひとつの現象が「ビクティム・ブレイミング(Victim Blaming)=被害者批判」を巡る騒動だと思う。
レイプやその他の女性に対する暴力事件において、加害者の男性ではなく、被害者の女性が非難される奇妙な逆転現象はしばしば起こる。これを「ビクティム・ブレイミング」と呼ぶ。
たとえば、南アフリカでの事例だ。南アフリカは性的暴行の発生率が世界でも非常に高く、年間約5万件以上が報告されている。(ブラックアジア:レイプ事件が1日に平均115件起こる国、凄まじい性暴力が渦巻く南アフリカ)
実際の被害数はこれをはるかに超えるとされる。
とすれば、レイプをする男が責められるべきなのだが、かならずしもそうならないことも多い。たとえば、被害者は「なぜ、ひとりで出歩いたのか」「男性と一緒にいるべきだった」と非難されることが日常的なのだ。
夜道を歩いていた女性が襲われた場合、「危険なのはわかっているのに、そんな時間に出歩くからだ」と周囲から責められる。場合によっては「レイプされても良いと思っていたのではないか?」と罵られることもあるという。
このような非難は、被害者の行動を問題視しするだけでなく、加害者の行為を正当化する口実にもなる。
南アフリカでは、こうしたビクティム・ブレイミングに「女性よりも、レイプする男を罰せ」と強い抗議運動が女性側から起こった。当然でもある。これらの事件は、被害者の問題ではない。事件を起こす男側の問題だ。
ただ、このビクティム・ブレイミングについては、男と女の意識の違いを如実に現れる部分もある。この「ズレ」の部分が論争を引き起こす。