キャリアを持った高学歴女性のひとりが「オンナは強くなった」とSNSでつぶやいているのを見たことがある。それに多くの女性が賛同していたのだが、もしかしたらそれは一面的な見方であるかもしれないと私は思った。
私が会ってきた女性は、かならずしも社会的に強い立場であるようには見えなかったからだ。むしろ、痛々しいまでに傷つき、社会的な立場の「弱さ」に苦しんでいた。
風俗や売春の世界で自暴自棄に生きている女性たちの話を聞く。すると、彼女たちの育った家庭は崩壊していたことが少なくないことに気づく。父親がDV(家庭内暴力)をしていたり、夫婦仲が険悪であったり、家庭を放棄していたりする。
こうした家庭で育った女の子たちは本当に社会的に弱い。
最近、リストカットやオーバードーズを常習している女性と会って話をしたのだが、彼女は母親に「お前なんか産まなければ良かった」と言われていた。(オーバードーズにリストカット。自らの身体を傷つける女性を突き動かすもの)
また、別に会ったオーバードーズする少女は、両親が憎み合って家庭が完全に崩壊しており「離婚したいけれど、お前がいるから我慢している」というようなことを母親から言われていた。
親が再婚同士で連れ子がいて……という複雑な家庭も増えていて、家庭に居場所がない少女や風俗嬢もいる。家庭に居場所がないと、少女たちは何も持たないまま社会の荒波に放り出されて「性」を搾取される。
「オンナは強くなった」とか言っているキャリア女性には、そういう社会の底辺にいる女性の苦しみにはまったく無頓着にあるように思えた。女性の間にも格差が鮮明になっているのだろうか……。