◆生理の貧困。女性教師から「汚い」と罵倒されて自殺した少女から見える社会

◆生理の貧困。女性教師から「汚い」と罵倒されて自殺した少女から見える社会

2019年9月。ケニアの首都ナイロビ西部にある学校で、チェプンゲノという名前の14歳の女の子が生理で制服のズボンを汚してしまい、女性教師から「汚い」と罵倒されて教室を去るように命じられた。

彼女はそれを強く恥じて家に帰り、母親に何が起きたのかを話したあと、水を汲みに行ったときに自殺してしまった。首吊りだった。彼女はナプキンとして使うものは何も持っていなかった。

ケニアでは彼女のように生理用品を買う余裕のない女の子たちが大勢いて、女性教師もそうした女子学生がいることがわかっていたはずだった。しかし、女性教師はわざと教室の中でこの女の子を罵倒して、クラスの皆の前でさらし者にした。

この女性教師の無理解が14歳の多感な女の子を死に追いやったことに対して、学校の保護者はみんな憤り、約200人が学校の外でこの女性教師の免職を求めて抗議運動を行い、5人が逮捕されるという事態になった。

ケニアの女性議員たちもこの抗議活動に賛同し、教育省を包囲して女性の尊厳を守るための改善を要求した。ケニアのすべての女性は賛同したと言っていい。

ケニアでは、生理用品を持っていないことで学校を休む女子生徒が大勢いて、国連の報告ではサハラ以南のアフリカの少女の10人に1人は生理の周期で学校を休むことを余儀なくされていると報告を出している。

ケニアでは女性議員たちの奮闘もあって2017年からは、学校に生理用品の無料提供を義務付ける法律が可決されていた。しかし、このプログラムは完全に展開されていなかった。国自体に資金がなく、プロジェクトはおざなりになってしまっていた。

「この自殺した少女に起きていたのは生理の貧困です」とケニアの女性議員は述べている。貧困に生きる少女たちは生理用品を買うこともできず、理解も得られず、それで学業についていけなくなったり、学校をやめたり、仕事ができなくなったりしていたのである。

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