
私は人生のほとんどを社会の裏側に生きている女性と一緒にいたのだが、作家として活動するようになってからは、表社会で普通に働いている女性や、上級国民的なカテゴリーに所属する女性とも接点ができるようになった。
それでいつも思うのが、私がつき合ってきたアンダーグラウンドの女性たちと、表社会の女性たちの「ふるまい」の差だ。
社会の裏側に生きる女性にもいろんな個性があるのだが、中にはひどく馴れ馴れしい口調や、粗野な話し方や、がさつな態度をする女性も多い。彼女たちが昼職に挑戦しようとして、普通の格好をして普通の会社に面接にいっても態度や口調で落ちてしまうだろうと思う女性たちだ。
こうした女性は、そこからして昼職に戻れない。
ある風俗嬢と話していたとき、こういう女性を「底辺オーラを発してる風俗嬢」と表現して、なるほどそういう表現のしかたもあるのかと苦笑いしたことがあった。底辺オーラは、まわりが気づいても本人だけは気づかない。そこが興味深いところだ。
仮に彼女たちが服装を整え、髪を黒く染め、職歴を家事手伝いとかで誤魔化して昼職の面接にいっても、会話が始まった瞬間に面接官は警戒モードに入るだろう。「その場にふさわしいふるまい」ができないと距離を置かれる。
彼女たちの中には、結婚願望がある女性もいたりするのだが、婚活しても表社会の男たちは、そのタメ口や態度に驚いてしまうだろう。語尾が荒く、返事が雑で、笑い方が乱暴で、会話も一方的だったりする。
彼女たちには「場に合わせる能力」なんかない。敬語を使うべき場面で使えない、空気を読んで話を短くできない、初対面で距離をつめすぎる。だが、本人はそれで幼少から生きてきているので何も思わない。
そういう女性がくると、表社会の男たちは一瞬で「この女性はトラブルを起こす側だ」と判断する。そして、逃げていく。「底辺オーラを発してる風俗嬢」が表社会に戻るというのは、けっこう難しいことなのだ。


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