タイ・バンコクの売春カフェ「テルメ」では、月末になると売春する女性が増えるという特質があった。1ヶ月のうち、月末になると姿を現す女性の存在も知られていた。
その理由は「家賃の支払いがあるから」だった。毎月、いろんな支払いの期日となる月末に経済的にピンチに陥る女性がたくさんいて、彼女たちが夜の街に降りて来る。
こうした社会の裏側の光景を見ていると、「月末の支払い」という地獄を乗り越えるのに、いかに多くの女性が苦労しているのかが見て取れる。
これはタイだけの話ではない。日本でも同様の光景が見られるようになっている。風俗で働く女性も、風俗を決断した理由が「支払日がストレスだった」と私に言った。
生活に追われるというのは、支払いに追われるということである。手持ちの金が少ないのに、支払いは待ってくれない。待ってくれない支払いに追われるから「生活に追われる」と表現するのである。
生活に追われ、窮地に追い詰められると人間は何でもする。
女性であれば、自分の身体を売ることすら決断して風俗の世界に足を踏み入れる。しかし娘を持つ一部の母親は、売れるのは自分の身体だけでないことに気付いている。