◆【投稿】絞りすぎて一滴の果汁もでないレモン(4)

◆【投稿】絞りすぎて一滴の果汁もでないレモン(4)

(この記事は読者から頂いた投稿です)

「おはよ~」

モード系のファッションに身を包んだすらりとした体の杏奈が両手にいっぱいのスーパーの袋を抱えて、控え室に出勤してきました。袋の中身はお菓子、お弁当、パン、惣菜 などなど。四人家族の三日分の買い物かと思うくらいの量です。

杏奈の声に、既に出勤して待機している私を含めた三人が「おはよ~」を返します。

杏奈は両手にいっぱいの袋の中身を次々に口に運びます。そしてトイレで嘔吐。それを店にいる間、待機中は延々続けます。杏奈の指には黒ずんだ吐きダコがあります。

杏奈以外のメンバーも負けてはいません。

カズキは隣の県から通っていますが、出版社勤務の彼氏が毎日送迎してくれるのだと自慢していました。

ところがその彼氏はサラリーマンのふりをして空き巣を繰り返す窃盗団の一員で、真冬の早朝に警察に捕まったばかりです。 泣きながら、私に電話してきましたが、いかんせんパネルでなかなか選ばれず、ちょいちょいお茶もひくので、滞納した家賃を払えず、夜逃げする算段をしています。

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