CATEGORY 売春地帯をさまよい歩いた日々

◆あの荒んだプノンペン70ストリートの売春宿の荒廃した部屋が懐かしい

あれから20年も経つのかとしみじみ思う。ちょうど20年前、私はカンボジアの売春地帯にどっぷりと浸っていた。 私が好きになった東南アジアの女たちは、みんな何も持たなかった。本当に彼女たちは何も持っていなかった。狭く息苦しい売春宿の中で、家族もなく、自分の居場所もなく、お金も持っていなかった。 みんな揃って不幸だったし、殺伐とした売春宿で外を見つめる彼女たちの横顔はとても哀しそうだった。 カンボジアの […]

◆売春地帯を捨てようとしていた5年間は、私にとって壮大な時間の浪費だった

タイ編2019年を振り返って私が印象深かったのは、8月にタイの首都バンコクのスクンビットを久しぶりに訪ねて、そこがまだ相変わらず堕落と快楽にまみれた歓楽地として機能しているのを確認したときだ。 私は2011年あたりにはもう疲れ果てていて、旅人でいることをやめて長らくバンコクに訪れていなかった。しかし、私が行かなくなってもバンコクの歓楽地は相変わらず何も変わっていなかった。 「ああ、そうだった。これ […]

◆フアランポーン駅に立っている下層の女。今もタイにはこんな女性がいた

タイ・バンコクのヤワラー地区には、今も夜になったら女たちが立つ。かつては大陸から来た中国人女性が立っていたことがあるのだが、久しぶりに行くと彼女たちはひとりもいなくなっていた。 タイには諸外国から女性が売春ビジネスのために流れ込んでくる国であり、ロシアが経済的な危機にあった2000年代の初頭は多くのロシア女性が流れ込んで来ていた。 マイクズ・プレイスにはそうした女性たちが監禁されていた。(ブラック […]

◆オープンバーのダーダ(2)。「タイ人のガールフレンドがいるの?」

ダーダは酔ってはいたが、他の女たちのように「夜に染まっていない」というのが興味深かった。多くの女たちは、大勢いる他の女たちよりも目立つために、どんどんファッションや化粧が厚く過激になっていく。 男にドリンクをおごってもらってバーの売上に貢献し、ペイバーしてもらわなければ、この世界では生きていけない。そのため、オープンバーの女たちも生き残りと生活のために必死になる。 ドリンク代を通して店に貢献できな […]

◆オープンバーのダーダ(1)。「あなたがおカネを持っているのは知ってる」

タイの首都バンコク「アラブ人街」から、人の波に揺られながらスクンビット通りを渡ってしばらく歩くと、ファランたちで混雑しているオープンバーがある。それを通り過ぎるとNEP(ナナ・エンターテーメント・プラザ)だ。ここはゴーゴーバーが集積した特別な一角である。 中に入ろうと思ったら、警察官が入口で関所みたいなものを作っていた。いつの間にこんなものができたのだろう。 私にしがみついてきたレディーボーイに「 […]

◆アフリカから来た女ウィニー(2)シャワーを拒絶する彼女の匂いの心地良さ

スクンビット界隈で最強に目立っていたのは、今ここで自信満々な表情で私を見つめて逃がさない女性であるのは間違いなかった。アフリカから来た彼女の肌はエボニーで、彼女もまたアフリカの女性特有の大きなヒップを持っている。

◆後味が悪すぎた別れ。「甘い言葉の過食」も人生に悪い?

タイ編 バンコクの売春地帯パッポンに沈没していた時、ゴーゴーバー『キングス・キャッスル』で、カモシカのように脚の長い痩身(スキニー)な女性がいた。名前は忘れてしまった。 それほど美人ではなかったが、彼女はとても人気があった。美しい女が他に山ほどいたのだが、それでも彼女の人気は大したものだったと思う。 ある時、彼女がバーで白人(ファラン)の客と楽しく談笑している中で、後からやってきた別のファランが彼 […]

◆売春する女たちと付き合うのは悪くないと私は考えている

売春ビジネスをする女性と付き合うというのは、人生の大きなマイナスになると言われている。それは一面の事実だから、彼女たちと付き合うなという忠告をする人がいたら、その言うことはよく聞いておいた方がいい。 まず、売春する女たちと付き合うと金がかかる。時には裏切られるかもしれない。彼女を通して悪い人間と知り合い、引きずり込まれる可能性もある。性病をうつされるかもしれない。治らない性病も世の中にはある。 売 […]

◆オープンバーでいきなり女性をクリニングスしたファラン

パタヤは、今やタイで最大の売春地帯と化した。そこではアルコールとセックスが満ち溢れ、多くの男たちが泥酔しながら女性に貪りつく。(ブラックアジア タイ〈パタヤ〉編) ところで、4月と言えばタイで狂気のお祭りがある。ソンクラーンと呼ばれるものだ。この時期のタイはパタヤにいても最悪の日々と化す。 どこにいても、歩いていたらいきなり大量の水をぶっかけられるのである。 道の真ん中を歩いていたら両側から水鉄砲 […]

◆タイでは、野良犬も素性の知れない旅行者も同じ扱いだった

日本では野良犬が街をさまよっている光景はほとんど見ないが、海外にいくと、タイには野良犬がうろうろしていて危険なこともある。 タイではバンコクにも路上で野良犬が寝ていることも多く、スクンビットではすっかり人気になった牛のような模様の犬が秘かに人気になったりしたこともあった。 可愛らしい犬ならそれはそれで街の風物になるのだが、中には明らかに皮膚病を持った犬や、身体中が汚れてうっかり目が合うと牙を剥き出 […]

◆貧困を這い回っても自殺しないフィリピン女性の生き方

マリエルが私のホテルに居ついて帰らない。よほど、ホテルのエアコンとベッドが気に入ったようだ。(アンヘレス再訪(3)アメリカ兵が捨てた娘が売春地帯に) マリエルはほぼ一日中全裸で、スマートフォンで誰かとメッセージのやりとりをして、のんびりと過ごす。たまにいなくなるが、数時間したら戻ってくる。 最初はテレビを見ていたが、私があまりテレビが好きではないと分かったら、ピタリと点けるのを止めた。あとは好きな […]

◆アンヘレスのマリエル。アメリカ兵が捨てた娘が売春地帯に

かつて、アメリカの基地があったフィリピン・パンパンガ州のアンヘレスには、アメリカ軍兵士の男たちが現地の女性に産ませて捨てた子供たちがたくさんいる。 このクラーク基地は、1903年にはすでに基地として存在し、1991年にピナツボ火山が噴火するまでアメリカ軍のアジアでの最重要拠点として存在していた。 実際、1960年代から1970年代のベトナム戦争でも、このクラーク基地は重要な出撃地となっている。基地 […]

◆イナとの時間。15歳で結婚、16歳で出産、そして売春地帯に堕ちた

インドネシア編インドネシア語は、もうほとんどすべて忘れていた。しかし、バタム島に向かう船の中で、まわりの人たちが話す言葉のイントネーションを聞いて、懐かしくて仕方がなかった。 この優しい響き。この郷愁。好きだった。 インドネシアは、私にとってとても大切な想い出に満ち溢れた国で、今もたまらなく愛しい。この言葉を聞いていると、かつて知り合った女性たちの柔らかな笑みが次から次へと浮かんで来て、甘酸っぱい […]

◆カンボジアの虐殺の洞窟(キリングケイブ)を訪ねたときの話

カンボジアは1975年から1979年まで、民族大虐殺が引き起こされた国だ。この間、カンボジアの経済は崩壊するに任せられて、国土は死体の山になっていた。 その後も、ポルポト派は西部パイリン省のジャングルに拠点を構えて1985年あたりまでずっと武装闘争を行っていた。 やっとポルポト派との停戦が行われてからも、フン・セン派やラナリット派の闘争などが行われて政情不安は続いたままだった。 何とか国家運営がま […]

◆鈴木傾城は「私、エイズなのよ」とつぶやいた女を抱いた

タイ編 彼女はバンコクのスクンビット通りで昼間から徘徊しているフリーの売春女性だった。ひどく痩せ細り、肩も薄く、あばらが刻まれ、額にまで血管が浮き出ていた。 「私、エイズなのよ……」 彼女は憎しみのこもった目で、そうつぶやいた。 彼女がつぶやいたそのときの光景を、今でもよく覚えている。男が聞き間違えないように、きちんと確認さえした。 「分かる? 私はエイズなの。本当よ」 彼女はそうやって、男が最大 […]

◆夢を見ないジャニス(2)凍えるほど寒い部屋、教育、貧困

フィリピン編 アルコール。ドラッグ。セックス。ありとあらゆる享楽にまみれた堕落の地に堕ちると、人は誰でも堕落に染まっていくものだろうか。 どうも、そうではないようだ。単純に、そう言い切れない。 朱に交わって赤くなる人もいるが、頑なに自分のポリシーを持って「堕ちない」人もいる。まわりに影響されず、自分をしっかり持っている。 堕落に堕ちれば人生が破滅する。堕ちないのは素晴らしいことだ。しかし、その代わ […]

◆夢を見ないジャニス(1)他人を拒絶するような態度と性格

フィリピン編 フィリピン女性は誰もがラテン系で、明るく楽しく陽気だというイメージがある。しかし、もちろんそうでない女性もいる。ジャニスは、まさにそうだった。 真夜中の世界で生きているのに、男に見つめられているのを分かっていて無視したり、自分が相手を見つめるときは、遠回しに見つめたりする。 堕ちた女性は、仲間の冗談にいちいち怒ったり根に持ったりしない。しかし、ジャニスは自分が仲間の卑猥な冗談のネタに […]

◆さよなら、女たち(4)。ヌーリの故郷メダンを訪れて想う

インドネシア編 翌朝、ヌーリを一度セチア・ジャヤに帰したが、昼下がりにはすぐセチヤ・ジャヤに行って彼女と合流した。 翌日、バタム島を経由してシンガポールに戻るつもりだった。それを伝えると、彼女は不安そうな、落ち着きのない表情をした。小さな顔の大きな目が、食い入るように私を見つめている。 「今度はいつ来るの?」 カレンダーを見つめ、恐らく大丈夫だろうと思われる2ヶ月後を指差した。 「戻ってきたら、ま […]

◆さよなら、女たち(3)。ヌーリが見せたのは、恍惚の表情

インドネシア編 この日もよく雨の降る日だった。陽はさすのだが、すぐにどんよりとした雲がやって来ては気まぐれにどしゃぶりの雨を落とした。 昼間はヌーリと一緒にホテル近くをあちこち散策して楽しんだが、本格的な雨が降って来たので濡れながら私たちは部屋に戻った。 ヌーリは部屋に入ると、私のバッグの中に関心を示した。 ベッドの上でバッグを広げて、ちょっとした医薬品やノートや辞書やカメラや着替えをヌーリに見せ […]

◆さよなら、女たち(2)。ヌーリの手首に自殺未遂の切り傷

インドネシア編 リッキーにセチア・ジャヤへ急いでもらう。すっかり陽が落ちており、夜のセチア・ジャヤに向かう道は、街灯のまわり以外は漆黒の闇の中であった。 狭い「秘密の路地」を抜けて見えてきたセチア・ジャヤの建物も、半分以上が闇に溶けて薄気味悪い。しかし、それを見て逆に安心した。 いくら何でも、こんなところにやって来る客もいないだろうと思ったからだ。時計を見ると、もうとっくに7時を過ぎていた。2階の […]

◆さよなら、女たち(1)。セチア・ジャヤで出会ったヌーリ

インドネシア編 初めてインドネシアのビンタン島を訪れたのは雨期の頃だった。 空はどんよりと曇っており、タンジュン・ピナンに降り立つと小雨が降っていた。雨足は強まるばかりで、ホテルに着いた時はすっかり濡れそぼっていた。暗く、陰鬱だった。 それから私はたびたびビンタン島を訪れているが、この島はいつも陰がつきまとっているように思えた。 ビンタン北部にはリゾート地がある。しかし、そこには訪れたことがなく、 […]

◆タンガイルのアイシャ(2)。隙間だらけのアイシャの部屋

バングラデシュ編 このようなこともあり、この日は通常の倍以上の時間をかけてタンガイル入りした。 この地方都市はアリチャやナラヤンゴンジとは違って、あまり歴史を感じさせない。 砂塵が舞い散っているせいか、まるで砂漠が近くにあるような、乾いた感じの雰囲気を醸し出している。ヒンドゥー教徒も多く、街中にヒンドゥー寺院もあった。 リキシャの群れを横目で見ながら売春地帯に入っていくと、昼間だと言うのに、すでに […]

1 8