インド編
アジアの夜の街をさまよい歩く男の姿を見ればいい。歓楽街は陽気で、馬鹿げていて、あちこちで乱痴気騒ぎが行われている。そこで、男たちが飲んで騒ぐ。
多くの男たちは享楽に浮かれて身を持ち崩しているように見える。彼らは性欲に支配されているように見える。
しかし、東南アジア・南アジアの巨大歓楽街や売春地帯を仔細に見つめたとき、ふと気がつくのは、流れ流されてやってきた男たちにも、深い陰(かげ)があるということだ。
女たちが陽気を装っているのと同様に、男たちもまた陽気を装って陰を見せようとしない。
しかし、夜の街は陰翳が濃いのと同じく、男たちの心理にも隠された陰が見え隠れしている。
その「陰」の正体は何だったのか。