あれから20年も経つのかとしみじみ思う。ちょうど20年前、私はカンボジアの売春地帯にどっぷりと浸っていた。
私が好きになった東南アジアの女たちは、みんな何も持たなかった。本当に彼女たちは何も持っていなかった。狭く息苦しい売春宿の中で、家族もなく、自分の居場所もなく、お金も持っていなかった。
みんな揃って不幸だったし、殺伐とした売春宿で外を見つめる彼女たちの横顔はとても哀しそうだった。
カンボジアの70ストリートで出会った何人かの女性は、何年か後にカンボジアに戻ったとき、もう誰もいなくなっていて売春宿すらも取り壊されて消えていた。
道路を拡張するために建物はすべて取り壊され、沼は埋め立てられ、そこにはもう面影すらもなくなっていたのだ。
たまにカンボジアを再訪したら、何もなくなってしまった道路のわきに立ち、私は途方に暮れながらかつての女たちのことを考えていた。(ブラックアジア:売春地帯をさまよい歩いた日々:カンボジア編)
あの女たち……。
大好きだった女たち……。
知り合った女性たちの半分はカンボジアに違法に住み着いたベトナム人だった。カンボジアの売春宿がフン・セン首相に叩き壊された後、カンボジアでさえ生きていけなくて、故郷に戻っていったのかもしれない。
彼女たちがどこから来て、どこに行ってしまったのか、私に分かるわけがなかった。彼女たちは、遠いところから来て、遠いところに行ってしまったのだ。