インド編
人身売買されて売春宿に放り込まれ、精神を病んだ若い女性を知っている。
彼女は感情を失い、まるで小さな人形のようにイスに座り、ほとんど何もしゃべることもなかった。
何か問いかけても、彼女の声はほとんど聞き取れないほど小さく、人間としての生気が消えかけているように思えた。(コルカタの売春地帯で、デビーは人間性を叩きつぶされていた)
あとで彼女は拉致されて売春宿に放り込まれたのだというのを知ったが、猥雑で混沌としたエネルギーがうねっているようなインドの売春地帯で、彼女の醸し出す雰囲気はとても不気味なものがあった。