
インドをうろついていたとき、私が友だちになったのは同じ旅人ではなくて、現地のスラムに住む女性だったり、物乞いをしているホームレスの女性だったり、売春で生きている女性たちだったりした。
書籍『絶対貧困の光景』では、初めてインドに降り立ったときに知り合ったホームレスの女性と10年後にひさしぶりに出会う話も書いているが、10年たってもホームレスの女性はホームレスのままだった。
この書籍を出してからさらに10年以上経過している。だが、おそらく彼女たちは今もなおホームレスのまま何ひとつ変わっていないだろう。インドは経済成長しているが、彼女たちは取り残されているというのは目に見える。
スリランカでも、バングラデシュでも、私は完全に社会の底辺の中の底辺の女性たちとしか付き合ってこなかった。
彼女たちと一緒に歩いたり店に入ったりすると、彼女たちが社会からどのような目で見られているのか一緒に経験することになる。とても印象的だったのは、スリランカで出会った物乞いをして暮らしていた女性シャーミカと一緒にいたときだ。
シャーミカと話しながら街を歩いていると、ほぼ全員が彼女を見て、あたかも病原菌でも見るような目つきで不快そうな顔をしていた。そしてその隣にいる私にも軽蔑の表情を隠すこともなく浴びせていた。
たしかに彼女は粗末な服を着て裸足《はだし》で歩いていた。誰が見ても貧しい女性であるのはわかっただろう。それだけでなく、彼女は売春をも辞さない女性だった。まわりの目には、非常に激しい拒絶感があった。
シャーミカと一緒に店に入って座ると、先にいた目の前のスリランカ人も、あからさまな嫌悪の表情を浮かべて私たちを避けるために立ち上がって去っていった。私たちは招かざる客だった。
しかし、シャーミカは拒絶されていることに慣れているのか平然としていた。



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