愛は永遠ではない。なぜなら人の感情や趣味や好みは一定ではないからだ。人は変わっていく。だから、私は「永遠の愛」なるものを一度たりとも合理的だと思ったことはない。
恋に落ち、燃え上がるのは簡単だ。しかし、愛し続けるのはとても難しい。暑い季節はやがて消えるのだ。激情の愛が消えると、やがて相手の存在が日常化し、感動は冷める。愛の寿命は4年だという人もいる。
相手の存在が日常化すると、今度は心のすれ違いがとても多くなっていく。なぜなら、人にはそれぞれ自分の考え方があり、誰にでも欠点があるからだ。
愛が燃えているときは見えなかったものが、愛が冷めるとよく見えるようになる。
人は誰でも生まれも育ちも環境も違う。同じ民族であっても、考え方、感じ方、大事にしているもの、譲れないものはまったく違う。
人は完全に一致できないが、せめて「基本的な部分」は一致していないと互いに愛し続けることはできない。そして、もう無理だと思ったとき、愛は壊れ、愛は死ぬ。
では、男と女は愛が冷めたら別れた方がいいのか。私はそれも合理的ではないと考えている。なぜなら、人は「愛以外の結びつき」というものがあるからだ。(鈴木傾城)