ホストクラブでは女性を騙して借金まみれにさせてカネを巻き上げたあげく、風俗や売春の世界に売り飛ばすためのマニュアルがあって、店側が新人ホストにそれを講習という形で教えている。
このマニュアルでは「昼職に就く20歳以上でホスト経験のない女性」をターゲットと規定して、そういう女性に色恋を仕掛けて金銭を吸い上げる手順を細部まで指示しているようだ。
マッチングアプリで接触し、恋人を演じて警戒心を解く。続いて「お酒好きなら奢るからおいでよ」と甘い誘い文句を送り、証拠の残らない形で来店させる。席に着いたらシャンパンと共にボトルを次々と開栓し、アルコール耐性を上回る量を飲ませて判断力を奪う。
酩酊が深まるタイミングで数十万円から数百万円もの高額の料金伝票を提示し、「翌日までに全額を入金してほしい」と迫る。当然、女性はそんな高額な料金を支払えないし、そもそもそんな貯金もない。
そこで、ホストは支払い方法として風俗店勤務や消費者金融からの借入を提示する。絶対に払わせるために契約書にもサインさせる。そうやって、一気に資金の回収に持っていく。貯金を根こそぎ奪い、さらに女性の信用を使って借金をさせて、徹底的にカネをむしり取る。
マニュアルはここで完結しない。売掛金の回収が済めば「見込みがない客」と断定し、連絡頻度を徐々に下げてフェードアウトするまでの距離の取り方も解説している。削除すべきメッセージ例、店外で偶然を装う再接近の禁止など、痕跡を消す工程が列挙され、警察や家族からの追及を防ぐ構造が完成している。
要するに、ターゲットにした女性から徹底的にカネをむしり取るための犯罪がマニュアル化されているのだ。
警察庁の集計によると、2024年に全国のホストクラブ関連で検挙された恐喝・詐欺事件は前年比31%増の368件に達した。相談件数は5245件で過去最多を更新し、被害総額は推計で150億円規模とされる。ここまでくると、完全に「犯罪組織」「反社会組織」と断定しても過言ではない。