スーダンと言えば、アフリカで最大の領土を有する国なのだが、多くの日本人はスーダンと聞くと「内戦しかしていない国」のようなイメージがある。
実際、そのイメージ通りだ。1956年にイギリス・エジプトから独立したこの国は、宗教と人種が入り乱れており、そのどれもが紛争の要因となっていた。
まず最初にイスラム教徒とキリスト教徒の紛争があった。そして、イスラム教徒と民族宗教(アニミズム)の紛争があった。そして、アラブ民族と黒人系民族との紛争もあった。
それだけでなく、国家と反政府軍との争いもあった。この統治を巡る対立ではしばしばクーデターも発生しているのだが、そこにこの国の石油資源に目をつけたアメリカなどの大国が介入して、大量の武器弾薬が流し込まれて紛争が止まらなくなった。
結局、内戦によって国土はふたつに割れて、スーダンと南スーダンになった。こうした複雑な対立がまさに60年以上も続いて今に至っているのである。このスーダンの大混乱が再び収拾がつかないものとなってきた。
事の発端は2019年に起きたバシール大統領の失脚である。
もともとバシール大統領は独善的な政権だったので人気がなかったのだが、この大統領の失策によってスーダンでは激しい物価上昇が起きていて、2019年には国民の大抗議デモが発生していた。
バシール大統領の独裁と腐敗に苦々しい思いを持っていた軍は、これを見てクーデターを決行して政権を奪うのだが、この軍に対して民兵組織が反旗を翻して、深刻な内戦に突入していった。