娼婦ナナ。戦争を始めるのは男たち、代償を払うのは女たち

娼婦ナナ。戦争を始めるのは男たち、代償を払うのは女たち

タイ・バンコク。熱帯の夜の喧噪の街をゆっくりと歩いていると、真っ正面から黒いボディ・コンシャスに身を包んだ白人女性が近づいて来た。

売春ビジネスに関わる女独特の視線が絡みついてきた。それに応えると、女は流し目を投げて”How are you ?”(ご機嫌はいかが?)とていねいな口調で尋ねた。

肌はきれいなホワイト、彫りの深い顔立ち、ふんわりと仕上げた肩までのショートカットは黒髪。まっすぐこちらを見つめるその瞳の色は透明度の高い灰色と言えばいいのか、茶色を限りなく灰色にした色と言えばいいのか、日本人には形容しにくい色をしている。

“I”m Fine.”(気分はいいよ)と伝え、さらに”Where are you come from?”(どこから来たの?)と尋ねてみた。女はむっちりとした胸を見せつけるような姿勢をしながら簡潔に答える。

“Moscow”(モスクワよ)

この女性こそがモスクワからやってきたロシア女性で、探していた女性のようだった。

“Bombom mai?”(セックスですか?)

白人女性がタイ語のスラングを使うことに軽い違和感を感じながらもうなずく。すると彼女は手を回してきて「あなたのホテルへ行きましょう」と言った……

(インターネットの闇で熱狂的に読み継がれてきた売春地帯の闇、電子書籍『ブラックアジア』。本編に収録できなかった「はぐれコンテンツ」を掲載。電子書籍にて全文をお読み下さい)

ブラックアジア外伝1
『ブラックアジア外伝1 売春地帯をさまよい歩いた日々(鈴木 傾城)』

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