フィリピン編
ジャニスは将来コンピュータを扱う仕事をしたいと言った。キーボードを打ったり、メールを書いたりすることはできるのだという。
彼女は私にメールを送りたいというので、私たちはメールアドレスを交換した。
「私は日本で働くことができるかしら?」
「たぶんね。コンピューターのプロになれば働けると思う」
ひどく楽観的なことをジャニスに言った。実際、ジャニスのように日本語を知らない学歴のない女性が、日本でIT関連の会社に勤めるのは限りなく難しいと思う。
しかし、即座に「そんなのは無理だ」とは言えなかった。ジャニスの将来の夢や希望を完全に否定したところで何になるのだろう。
もしかしたら0.01パーセントの可能性が残されているかもしれない。そんな夢が実現したら、ジャニスにとっては素敵なことだ。