パブロ・ピカソは天才だと言われている。キュビスムというスタイルで描かれた独創性の塊のような作品は、今も世界中で衝撃を与え続けている。
このピカソの天才性は作品のスタイルとは別に、もうひとつの記録で記されている。それは作品数だ。
ピカソは8歳の頃にはもう天才的な絵画能力を発揮していたのだが、そこときから91歳で亡くなるまで、14万7800点もの作品を残しているのである。
その内訳は、絵画1万3500点、版画10万点、挿絵3万4000点、彫塑・陶磁器300点となっている。ピカソは、芸術分野で他に類を見ない多産な芸術家だった。
ピカソの創作エネルギーは一度も途絶えることがなかった。その集中度、エネルギーは他に類を見ない。しかも、ピカソがすごいのは、その集中力が晩年になっても衰えず、どんどん作品が生み出されていったことである。
ピカソにとって作品とは、汲んで枯れる井戸の水ではなく、大河の流れであったのだ。汲んでも汲んでも尽きなかった。そしてピカソは言った。「明日描く絵が一番素晴らしい」