2020年はタイにとってもコロナ禍で散々な目に遭った年でもある。タイは観光立国なので、今回のように観光が危機に陥ったら貧困層の多くが窮地に落ちる。タイ国内の貧困層は今までずっと減り続けていたのだが、2020年は反転した。
コロナによって月収2710バーツ(約9000円)を下回る貧困人口は670万人を超える状態になる可能性が指摘されている。タイは日本と違ってセーフティーネットが非常に脆弱であり、いったん貧困に落ちると這い上がるのは容易ではない。
コロナによる社会的転落が「人生の終わり」になってしまう人も少なくない。タイでも1月から6月期には自殺が前年同期比で22%も増えるという惨状を呈している。
そんな、中でタイでは反体制デモ、反王室デモが膨れ上がるようになっている。社会が不景気に落ちれば、どこの国でも不満は政治に向かう。タイは、不幸にもそれが先鋭化して出現した。
タイではタクシン派を排除するために軍出身のプラユット首相がずっと首相の座にあったが、いつまでもダラダラと続く軍政に嫌気がさしているのと同時に、品のない国王がドイツでハーレム暮らしをしている不満も重なって、国民の怒りが一気に爆発した。
今、タイでは激しい反体制デモが吹き荒れて止まらないのである。(ブラックアジア:コロナで経済苦、政権と王室は堕落し、抗議活動で政治的混乱に陥っているタイ)
この混乱の行方は2021年にも持ち越される。反体制・反王制デモがここまで大きくなって国民が断絶してしまった中では「何となく収束」は、もうあり得ないようにも見える。
コロナのワクチンが出回るのはタイでは4月以降であると思われるので、そうであれば2021年の前半までタイ経済は回復しない。不景気は継続し、生活苦が社会的ストレスを増大させ、暴動が吹き荒れる季節となっても不思議ではない。
こうした荒んだ状況の中、開催が危ぶまれていたのが「ミス・ティファニー2020」だった。