東南アジアはどこも暑い国なので、ストッキングやタイツを履いている女性はほぼ見かけないし、靴下を履いている女性も見ない。
タイの首都バンコクでも、オフィス街でしっかりとビジネス服を着ている女性も、足元を見たら、生足の素足に開放感の高い靴を履いていたりする。しっかりとした靴を履いていても、やはり靴下は履いていないことが多い。
暑い国でストッキングや靴下はさすがに蒸れるということもあるし、東南アジアではいきなりスコールが来て道は往々にして川のようになる。靴下を履いているとドロドロになってしまう。
そういうわけで、昼職に生きる女性であっても夜職に生きる女性であっても、ストッキングやタイツを履いている女性に出会う確率は極度に少ないと言ってもいい。
だからと言って「普通の男」はまったく困らない。そもそも東南アジアでストッキングやタイツを履いている女性がいないことに、普通の男はまったく気づかないはずだ。言われれば気づくが、言われなければ永遠に気づかないだろう。
かく言う私も、東南アジアの女性がまったくストッキング・タイツを履いていないということに長い間気づかなかったし、気づいたところで何の感慨もなかった。それは私にとっては、まったくどうでもいいものだからである。
しかし、ある時バンコク・スクンビット通りの売春地帯「ナナ・エンターテーメント・プラザ」のオープンバーに、ある女性が非常に特徴的なものを履いているのに目を止めたことがあった。
彼女は下着が見えるのではないかと思うほどギリギリのミニスカートを履いていたのだが、他の女性と違ったのは足を編み目の大きな網タイツだったのである。
編み目の大きな格子状の網タイツと言えば、欧米のコールガールが好んで着ているファッション・アイテムなのだが、東南アジアの女性が網タイツを履いているのは、なかなか見かけない。
彼女に聞くと、白人(ファラン)のボーイフレンドがそれが好きだから履いているようなことを言っていた。それを聞いて「なるほど」と私は思った。このファッションが偏執的に好きなフェチの男がいるのだ。