私がカンボジアに足しげく通っていたのは1999年から2001年までの3年間だが、この3年間のカンボジアでは、クラブやディスコや夜総会で「エクスタシー」と呼ばれるドラッグが爆発的流行していた。
売春村スワイパーでも、私の知り合った女性の何人かは紛れもないエクスタシー依存だった。(ブラックアジア:マイはベトナムに帰った。バスルームで頭を振っていたマイ)
売春ストリートであったトゥールコック地区の70ストリートでは、マリファナを売りつける少年がいて、売春宿の狭く暑苦しい部屋は誰かの精液のニオイとマリファナのニオイが充満していていてめまいがしそうだった。
女たちはマリファナよりもエクスタシーの方を好んだ。マリファナは常に多幸感を得られるわけではないが、エクスタシーは強制的に多幸感に連れて行ってくれるからかもしれない。
他にもヤーバー(覚醒剤)もあればヘロインもあったが、ドラッグの売買は終身刑に近い懲役だったにも関わらず、真夜中のクラブやディスコや夜総会ではまるでガムやキャンディーのように普通に売っていた。
クラブの入口では売人が何人も立っていて、すれ違うと必ず声をかけてきたので、ドラッグが欲しいと思ったらいつでも手に入る環境だった。
あれから20年。プノンペンのアンダーグラウンドは浄化されたのだろうか。いや、浄化されるどころかドラッグの流通は「日常」と化して、今やKTV(カラオケクラブ)の半数のホステスは何かのドラッグに手を出しているのではないかとオーナーが言うほどひどい日常になっている。
出回っているドラッグは何か?