危うくドラッグ・ミュール(麻薬の運び屋)にさせられそうになった日本人の話が最近あった。この日本人の男性は30代の会社員だった。アンダーグラウンドとはまったく関係のない一般人である。
彼は「ブログに旅行記などを書けば無料で旅費を出す」という勧誘をネットで見つけた。応募してみると当選した。
早速、連絡がきて2018年12月4日に東京駅で「担当者」を名乗る人間に会うと、その場で簡単な説明を受けてタイの往復チケットと40万円を旅費として渡された。
翌日に彼がタイ・バンコクに到着すると、今度はひとりのイラン人が出てきて、青い大型のスーツケースを渡されて「これをドイツのフランクフルトに運んで欲しい」と言われて2000ドルを渡された。中は衣類だった。
しかし何かがおかしいと思った彼は、在バンコク日本大使館にスーツケースを持って相談した。大使館はすぐにタイ警察を呼んで調べたところ、そのスーツケースには2.3キロの覚せい剤が入っていることが分かった。
何が起きていたのか。この30代の日本人男性はドラッグ・ミュールに仕立て上げられていたのである。(鈴木傾城)