イエス・キリストは清廉潔白な人物であったと記されている。キリスト教は貞操をとても大切にして、性的に堕落した人間を「神の道から外れている」として激しく糾弾する宗教だ。
だとすれば、この宗教を教え、広める聖職者は清廉潔白でなければならないはずだ。イエス・キリストのように身も心も性の煩悩から超越した存在でなければならないはずだ。
しかし、現実はそうなっていなかった。
2018年9月25日。ドイツのカトリック教会の司教会議が民間機関や大学の犯罪研究所の専門家に委託してまとめた報告書が全世界に衝撃を与えている。
これは、聖職者による未成年者への性的虐待に関する報告書である。ドイツでは1946年から2014年までの間に、分かっているだけで3677人以上もの子供たちが聖職者に性的虐待されていたのだった。
性的虐待と言えば少女に対するものを想起するが、報告書では「被害者の35%は少女、65%は少年」だったと記されている。これらの性的被害は以前から存在する。しかし、人々は「知らなかったこと」でやりすごしてきた。
しかし、全世界でカトリック教会聖職者の性的虐待事件が大きな問題になるにしたがって「知らなかったこと」にはできなくなっていった。(鈴木傾城)