◆バングラデシュの極貧売春地帯。物理的に沈みゆくエリアに暮らす女たちの姿

私が愛したタイは1980年代のタイだ。バンコクはすでに大都会だったが、奥に入るとスラムが広がって貧困の世界があった。私の愛した女性たちはその貧困に生きていた。だから私もまたその貧困にとらわれた。

さらにバンコクから一歩郊外に出ると、東南アジア特有の、のどかな光景の裏側に貧困が広がっていた。しかし、今のタイはすでに貧困国家ではない。だから、タイの歓楽街にも行こうというモチベーションは消えた。

カンボジアやベトナムも、何となく魅力も感じなくなった。

一方で、かつてよりも強く憧憬を感じるようになった国がある。バングラデシュだ。バングラデシュには長期でも頻繁でもなかったが、2003年頃に何度か訪れている。ちょうどその頃は、アメリカのアフガニスタン爆撃やイラク攻撃があって反イスラムで揺れていた時期だった。

バングラデシュも今、急速に経済成長を遂げている。だが、国民の約18%が依然として貧困線以下で生活しており、極度の貧困層も約5%残存している。バングラデシュの総人口は直近推計で約1億7300万人なので貧困線以下は約3100万人、絶対貧困層は約860万人ということになる。すさまじい数だ。

こうした条件の下で、売春は一つの産業として定着している。バングラデシュでは成人女性の売春行為そのものは違法ではない。政府はこれを「職業選択の一形態」として扱い、特定の地域に限定して黙認してきた。

バングラデシュの売春については、『ブラックアジア:ブラックアジア 売春地帯をさまよい歩いた日々インド・バングラ編』でも取り上げている。

売春は地下ではなく、社会的に切り離された形ではあるが、公然と存在していた。この状況は今も変わらない。そんな中で、いくつもの売春地帯がそこにあったのだが、そんなバングラデシュでもひときわ貧しい女性たちがいる売春地帯が存在している。

今、私が訪れたい極貧の売春地帯があるとしたら、まさにそこだ。

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