
最近、痴漢された女性が逃げようとする男を捕まえて、大勢がそのを囲んで私人逮捕している動画を見た。若い男なら振り切って逃げたのだろうが、捕まえられたのは、もう若くない男だった。
その動画を撮ったのは外国人だったので、SNSで世界中にその動画がばらまかれた。
ここまで大騒ぎになったら、この男も「迷惑防止条例違反」か「不同意わいせつ罪」のいずれかで逮捕されるだろう。逮捕されると、どうなるのか。最大23日間の身体拘束を受け、起訴されると前科となる。
たかが痴漢と思うかもしれないが、けっこうな社会的制裁である。この男は背広を着ているのでサラリーマンのようにも見える。1か月近くも身体拘束なんか受けたら、仕事も懲戒免職になってしまうかもしれない。
痴漢事件の発生件数はコロナ禍をはさんで一時的に減少したものの、近年はふたたび増加傾向となって最新のデータでは2200件となっている。これだけ痴漢問題が取り沙汰されているのだが、いっこうに減ることがない。
もちろん、その2200件というのは氷山の一角に過ぎず、実際には多くの女性が泣き寝入りしている。被害者が泣き寝入りを選ぶのは、通報や訴え出ることへの心理的負担が極めて大きいからだ。
被害を受けても「声を上げる勇気がない」「逆ギレされたらどうしよう」といった不安に縛られ、声をあげる勇気を持てない女性が少なくない。さらに、目撃者がいても無関心を装う空気さえもある。
痴漢は恒常的に起きている。それは満員電車の中で男が見知らぬ女性の身体と密着するからなのだが、それでも多くの男たちは痴漢などしない。自制心が働くからだ。だが、その自制心は常に働くとは限らない。
実は自制心を失わせる心理的な状況もある。自分をコントロール不能にしてしまう危険なものがあるのだ。それはいったい何なのか。もちろん、誰もが知っている「例のもの」だ。



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