『病み、闇。ゾンビになる若者、ジョーカーになる若者』を書く中で、何人もの若者と話をしたのだが、そこで私がずっと引っかかったのは彼らが言う「毒親」という言葉だった。
「うちの親は毒親だった」
「親ガチャに失敗して毒親だった」
彼らの少なからずが、そのように吐き捨てた。毒親というのは、子供を罵倒したり、DV(家庭内暴力)を振るったり、子供が何をしようがまったく無視(ネグレクト)したり、逆に子供の一挙一動を監視するかのように過干渉して自由を奪ったり、とにかく子供を精神的・肉体的に追い詰めてしまう親を指す。
トー横界隈に集まる未成年の女の子たちは、全員がそうだとは言えないかもしれないが、一般的に見るとかなり「毒親育ちだ」と言う子が多いように見える。
たしかに、家庭に居場所があったら、夜中に歓楽街をうろつくようなことはなかったはずだ。そういう意味では親の悪影響というのは、私たちが考えている以上にあるようにも見えた。
そして毒親と言えば、そうした親に苦しめられてきた女性が集まる他の世界を、私は以前から知っていた。
それは言うまでもなく、売春や風俗で働いている女性たちである。彼女たちも生い立ちなんかをじっくり聞いていると、やはり「私の親は毒親だった」と言う女性が多いのである。
毒親のいる家庭に育った子供たちは精神的に大きな傷を抱えて社会に出る。そのため、自ら破滅的な人生に突き進んでいくようにも見える。