◆まぶたに描いた目。卑猥な踊り。奇妙で予測不能のインド女性

◆まぶたに描いた目。卑猥な踊り。奇妙で予測不能のインド女性

インドをさまようようになると、さまざまな人間に会い、さまざまな光景に遭遇する。ストリート・ピンプ。道に立つ原色の売春女性。彼女たちの子供。彼女たちの客。屋台で働く男。身体の一部が変形した奇形者。麻薬中毒患者。そして性的な倒錯者ヒジュラ……。

その誰もが良くも悪くも非現実的で、滑稽で、圧倒的な存在感がある。

インドではどんな存在があってもおかしくない。だから、とても不思議な化粧をして、まったく予期しない行動を取る女性がいてもおかしくない。

コルカタの売春地帯、ソナガシにとても奇妙で行動が予測できない女性がいた。個性が爆発していた。カルカッタ・ソナガシの売春ビルに入って得体の知れない男たちや女たちに囲まれながら、廊下に立つ売春女性を見る。

どの女も派手な顔つきや化粧をしていた。この中でもっとも黒い肌を持っていたのがモナだった。全体から受ける印象は野性味溢れていたが、顔はあくまでも柔和で、それが奇妙な味わいを醸し出している。

モナは変わった女だった。

そもそも、格好(いでたち)からして変わっていた。ペチコートの代わりにジーンズをはき、チョリをつけて、しかしサーリーは羽織らないで壁に寄りかかっていた。

それは、アメリカ西海岸でよく見る、ジーンズに上半身は水着のトップだけの白人娘と似ていて、非常に現代的に見えた。しかし、大きな銀色の鼻輪に、小さな金色のビンディー(額の印)をつけていた。

そして、肌は黒いが、まぶた(まぶた)は真っ白に塗って真ん中には日の丸のような赤い丸が描かれている。目を閉じると、まるで作り物の赤い目が輝いているように見える。

まぶたを開けると、本物の彼女の瞳が現れる。

それは生々しい別の生き物の目に思えてどきりとする。人工の目を持った人形が、突然、本物の目になってこちらを見つめて来たかのようだ。

彼女は、そのような印象を人に与えることを計算して、この奇妙な化粧を……

(インターネットの闇で熱狂的に読み継がれてきた売春地帯の闇、電子書籍『ブラックアジア インド・バングラデシュ編』にて、全文をお読み下さい)

『ブラックアジア・インド・バングラデシュ編 売春地帯をさまよい歩いた日々(鈴木 傾城)』

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