歴史はときどき人間離れした聖人を生み出すのだが、南アフリカのネルソン・マンデラはそういった偉大な人間のひとりだろう。
かつて、南アフリカはアパルトヘイトという人種差別政策を取っていた。
しかし、ネルソン・マンデラは「人間は肌の色、性別問わず平等である」と信念を持って戦い、1962年に逮捕されて国家反逆罪として終身刑を言い渡された。44歳の時だった。
以来、27年間も刑務所に放り込まれて強制労働をさせられていたが、44歳で獄につながれて終身刑を言い渡されたら、普通であればもはや再起不能と言ってもいい状況だ。
マンデラは当初は新聞もラジオも与えられず、世間から切り離されて孤立させられていた。数年も経てば、誰もがネルソン・マンデラという男がいたことすらも忘れていくだろう。
反アパルトヘイトを激しく批判するマンデラを獄中に閉じ込めてその主張を封じ込めようとした当時の南アフリカ政府の方針は変わらず、それが何年も何年も続いた。