詐欺師ほど「友達になろう」と言って寄ってきて、「この宗教を信じろ、これを買ってくれ、カネを貸してくれ、言う通りにしろ」と操ってくる。現実の社会では、「誰とでも仲良く」という子供向けの理想をそのまま信じて社会に出て、人を疑うことを知らない人間が真っ先に食い物にされる。(鈴木傾城)
プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)
「正しい人だけが評価される」わけではない
社会的に「大人」だと認められたすべての人間がすべきことがある。それは、今までの子供のために刷り込まれていた「理想」から「現実」に向けて意識を切り替えることだ。これがうまくいかないと社会に馴染めなくなったり、食い物にされたりする。
子供向けに刷り込まれていた「理想」というのは、数限りなくある。大人になって現実社会で生きるというのは、この理想がことごとく通用しない世界で生きるということだ。
子供の頃に刷り込まれた理想とは何か。
たとえば、「正義は勝つ」だとか「悪は滅ぼされる」というものから、「誰とでも仲良くする」だとか「話せば分かり合える」というものから、「努力は報われる」だとか「正しい人だけが評価される」というものはすべて理想だ。
それは理想であって現実ではない。もちろん、いつでも正義が勝って悪が滅ぼされるのは気持ちがいいが、現実ではどうしてもそうならないのである。
悪がはびこって正義を踏みにじる局面が往々にしてある。ずる賢い人間が正義の人に勝つ局面もしばしばある。誰が見ても良い人なのに良い人であることが理由で蹴落とされる局面もしばしばある。
社会は理想で動いていない。社会は善悪で割り切れていない。社会は決して光だけでは成り立たない。
それが現実なので、妙な理想を持っていると現実のあまりの醜さに叩き潰される。この世は理想通りに動いていない。
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成人したのなら、忘れなければならないものがある
正義が勝てない局面は往々にしてある。正しいことを言っている人が、巨大な組織に社会的にも経済的にも抹殺されるのは珍しいことではない。正義も正論も、巨大な存在の前では筋を通すことさえ困難だ。
どこかの企業に所属してしまえば、自社の内部的犯罪すらも告発することはできない。それをすれば、自分の側に正義があったとしても自分が潰される。会社を告発したら、告発した人間が蹴り出されて苦境に落ちる。
悪人も一向に社会から一掃されることもない。悪人の方が逆にいきいきと充実した日々を送っていたりする。
子供の頃に刷り込まれた理想では、こうした存在は一瞬で消え去ることになっているはずだが現実は違う。悪が社会の底辺に根を張って消えないのである。どうすればいいのか。
「正義は勝つ」だとか「悪は滅ぼされる」という理想は、成人したのであれば完全に忘れなければならないということだ。理想は理想、現実は現実だ。「誰とでも仲良くすると幸せになる」というのも信じ込んでいたら落とし穴にはまる危険な理想だ。
世の中には「仲良くしたければ俺の言うことを聞け」と言う人間や組織や国家がどこにでも存在する。「誰とでも仲良く」していたら泣きを見る。「誰とでも仲良く」などと言っていたら、その足元を見透かしてやってくる邪悪な人間も山ほどいる。
詐欺師ほど「友達になろう」と言って寄ってきて、「この宗教を信じろ、これを買ってくれ、カネを貸してくれ、言う通りにしろ」と操ってくる。
現実の社会では、「誰とでも仲良く」という子供向けの理想をそのまま信じて社会に出て、人を疑うことを知らない人間が真っ先に食い物にされる。「誰とでも仲良く」という理想はあくまでも理想であると考えて、しっかりと相手の正体を見極めなければならない。
1999年のカンボジアの売春地帯では何があったのか。実話を元に組み立てた小説、電子書籍『スワイパー1999』はこちらから
「誰とでも仲良く」する必要はまったくない理由
日本人が「友情」や「協調」に弱いというのは、対外的にもよく知られている。それは「誰とでも仲良く」という教育があまりにも深く刷り込まれて、成人してもそこから離れられないからである。
だから、悪人であればあるほど美辞麗句を散りばめて「友達だ、友好だ、親睦だ」と言って日本人を懐柔し、いったん友好関係を結ぶと「友好を壊したくなければ反省しろ、謝罪しろ、賠償しろ」と恫喝し始める。
恫喝されてもまだ「誰とでも仲良く」みたいな子供思考から離れられない日本人は、それでいいように騙され、ハメられ、弄ばれ、未来永劫カネを毟り取られ続けることになる。
政治的にも協調だとか協力だとか言われて騙され、個人的にも友情だとか信じ合おうとか言われて騙される。日本人は「人を騙したらいけない」という価値観があるが、国外には「騙すが勝ち。騙される方が馬鹿」という価値観もある。
価値感を共有しない存在とは、「誰とでも仲良く」みたいな子供思考を完全に捨てて、断ち切らなければならない。
断ち切らなければならない相手を断ち切らないから揉める。別に「誰とでも仲良く」する必要はまったくないことを日本人は早く知るべきなのだ。
「話せば分かり合える」など、あり得ない。なぜ、そんな風に思えるのか。現実をしっかり見れば、一万回話しても分かり合えない人間がひしめいているのが世の中だと気付くはずだ。
だから、成人したら一刻も早く「誰とでも仲良く」だとか「話せば分かり合える」という子供思考を捨てなければならないのである。
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「努力」を押しつけてウブな人間を潰す仕組み
世の中は善人ばかりで成り立っているわけではない。利己主義者もいれば、悪人もいれば、詐欺師もいれば、犯罪者もいる。こうした人間が自分の利益のために他人を踏みにじる。
誰がターゲットになるのか。もちろん、騙しやすい人間だ。子供思考を純真に信じている人間が、真っ先に被害に遭うのは当然の帰結だ。
「努力すれば報われる」とか、「正しい人間だけが評価される」とか、そんなのも保障されていない。この世は努力しても報われなかった人たちの墓場でもある。むしろ、その「努力」を押しつけてウブな人間を潰す悪人で溢れている。
ブラック企業を見ればいい。「努力すれば報われる」と子供思考に染まっている人間を採用して、朝から晩まで「努力しろ」と追い立てて奴隷のような労働を強制し、サービス残業で社員を殺しているではないか。
カネを払わないで死ぬまで残業させる企業は「一生懸命に努力すれば報われる」と思わせて、自らの利益のために社員を奴隷にしてこき使う。子供思考に染まっている人間を収奪する。
「努力すれば報われる」と思わせて、それを信じている人間を食い物にしている企業は他にもある。たとえば、資格商法をしている企業なんかはそうだ。
「努力しろ」と追い立てて高額の教材セットを買わせて、役にも立たず、食べていくこともできないような無駄な資格を取らせてあこぎにカネ儲けをしている。
「正義は勝つ」だとか「悪は滅ぼされる」というものから、「誰とでも仲良くする」だとか「話せば分かり合える」というものから、「努力は報われる」だとか「正しい人だけが評価される」というものはすべて理想なのだ。
成人したのであれば、一刻も早く子供思考から抜け出さなければ自分が食い物にされる。この世には「邪悪な存在」が蠢いており、いつでも落とし穴に転がり落とされるという現実を認識することが重要だ。
誰が言いだしたか知りませんが「根っからの悪人はいない」
これも真っ赤な嘘です。
「根っからの矯正不可能な悪人」はいます。
ブラックアジアの読者なら皆さんご存じですよね。
そうそう!それ。
「根っからの悪人はいない」って、おかしいと思ってた。
サイコみたいな人間は矯正不可能です。まわりに1人おります。
います。います。根っからの矯正不可能な悪人はいます。「こいつ、キチガイか」と思う奴がいます。
正義が勝つというよりは思考力がある者が勝つと言ったほうがいいですね。
日本人もこちらが妥協すればどこまでもつけあがるクズどもがいることに
ようやく気付きだしたようです。
正義の定義によって見方は変わる気がします。
人によって正義の解釈は違います。
ただ弱い奴がやられるだけではないでしょうか。