沖縄潜伏。基地問題、貧困問題、流れ者の女たちで沖縄に興味を持った

沖縄潜伏。基地問題、貧困問題、流れ者の女たちで沖縄に興味を持った

「沖縄」のことは以前から気になっていた。世間では沖縄の基地問題で揺れていて、沖縄のニュースを目にしない日はない。

普天間基地のことや辺野古移設問題のことは、沖縄に行ったことがなかった私ですらも地名が分かるほどだった。

日本の地図を俯瞰すると、沖縄がひとつの要所になっているのに誰でも気づく。防衛上的にも沖縄に基地が必要であるという意識は日本人には共通認識としてある。しかし、広大な基地を沖縄県人に押し付けているという暗い事実もある。

普天間基地は住宅街のど真ん中にあって「世界一危険な基地」になっているという問題もニュースで常に指摘されている。さらに戦闘機の爆音も凄まじい。沖縄問題というのは、常に基地とは切り離せない問題でもある。

しかし、私の大きな関心はそうした部分とは別に、沖縄固有の経済問題にあった。沖縄の貧困率や完全失業率は全国でも筆頭に上げられている。子供の貧困率も全国で最も悪い数字が出ている。最低賃金も全国のどこよりも低い。

仕事が見つからないので、若年層は内地(沖縄県以外の都道府県のこと)に出稼ぎに行く実態もある。

ウチナンチュ(沖縄県人)

以前、兵庫県尼崎の「かんなみ新地」を見に行った時、そこで働いていたのが沖縄出身の女性たちだというのを知った。彼女たちは「内地」に出稼ぎに来ている流れ者の女だったのだ。

尼崎にはウチナンチュ(沖縄県人)が大量に流れ込んできていて、沖縄の郷土料理を食べさせる店もたくさんあった。

尼崎市の杭瀬駅からすぐの路地を入ったところには「五色横丁」という昭和の匂いがぷんぷんしたスナック街がある。もう今は取り壊し寸前になっている場末のスナック街なのだが、ここにも沖縄県人のためのスナックがあったりするのを見かける。

さらに大阪の大正区は区民の四分の一がウチナンチュかその関係者で占められていると言われている地区であり、あまりの沖縄出身者が多くて「リトル沖縄」と言われるほどになっている。

沖縄から出稼ぎに来ている人たちがたくさんいるということだ。

ウチナンチュは、もちろん東京にもいる。そして、歌舞伎町の風俗にも沖縄の女性は潜り込んでいたのだった。(ブラックアジア:歌舞伎町にいた沖縄の女性(1)沖縄出身の女性も当然そこに潜んでいる

沖縄の基地問題。沖縄の貧困問題。沖縄出身の流れ者の女たち……。

さらに最近は、沖縄を日本から独立させて領土侵食を画策する中国の動きも重なっていて、沖縄はいよいよ日本の「ホットゾーン」となりつつある。

今までほとんど関心が向かなかったが、ひとつひとつの出来事や知識が積み重なるにつれて、私は「実際に沖縄に行ってみたい」という気持ちを強く意識するようになっていた。

沖縄に向かう

今までほとんど関心が向かなかったが、ひとつひとつの出来事や知識が積み重なるにつれて、「実際に沖縄に行ってみたい」という気持ちを強く意識するようになっていた。沖縄に行くには、まずは羽田からだ。この日の羽田は快晴だった。

 

東京湾がよく見える。私は短い旅路の場合は窓際に座り、長い旅路の場合は通路側の席に座るようにしている。この日もそうだった。(ブラックアジア:飛行機は窓側に座るべきなのか、通路側の方がいいのか?

 

那覇空港に着くと「めんそーれ」という言葉で旅人を迎えてくれる。「めんそーれ」とは「いらっしゃいませ」の意味だった。市内にはモノレールで入ることもできるが、タクシーを使っても10分で那覇市内に入れる。私は沖縄に午後6時過ぎに着いたので、そのままタクシーで市内に入った。

 

ホテルに荷物を放り出すと、すぐに街に出てみた。すでに日はどっぷりと暮れていて店の看板が目立つのだが、真っ先に私を迎えてくれえたのは「沖縄そば」というものだった。「沖縄そば」なるものは食べたことがないので、沖縄にいる間に一度は食べてみようと思いながら、この日は通り過ぎた。

 

那覇に行ったら、まずは「国際通りを歩いたらいい」と、歌舞伎町で出会った沖縄出身の風俗嬢に以前に聞いていた。それを覚えていたので、彼女の助言に従って国際通りを歩いてみる。那覇では一番賑やかな通りであると説明を受けた。ただし、那覇に住む住民たちはこんなところは歩かないということなので、歩いているのは観光客ばかりだ。写真に移っている男女のグループは中国人たちだった。

 

沖縄の土産物を売る店が国際通りにはたくさんある。「おきなわ屋」の二階は「A&W」という店なのだが、この店は沖縄が誇るファーストフード店である。マクドナルドが子供だましに見えるほどボリューム満点のハンバーガーを食べることができる。

 

沖縄独特の料理を食べさせてくれる店もたくさんある。メニューには「あぐー」という言葉がやたらと並ぶのだが、これは沖縄品種の豚を指している。食べてみたが、肉質は柔らかいクセのない肉だ。

 

土産物があちこちに大量に並んでいる。歩いているのは中国人・韓国人なのだが、圧倒的に多いのは中国人だ。店の人にいろいろ聞いてみると、今の時期はちょうど中国の旧正月で大量の中国人観光客がやってきて沖縄の物産を買い漁ると言っていた。沖縄経済は中国人観光客で成り立っている。

 

「地元の人はここを歩かない」ということなので、歩いている人間のほぼすべては観光客ということになる。国際通りは観光客のためにできた通りである。

 

免税の土産店。店頭には「ちんすこう」というお菓子が大量に並べられている。奇妙な名前のお菓子だが、味はクッキーに似ている。

 

沖縄の守り神である有名な「シーサー」の様々なバリエーションが売られていた。狛犬にも似ているが微妙に違う。シーサーの正体はライオンであるとも言われているが、これも諸説があって実際のところははっきり分からない。いずれにしても、これが沖縄の「顔」であるのは間違いない。

 

夜なのであまり分からないが、ヤシの木が街路樹になっていて、ここが南国であるというのが分かる。この時の気温は約17度。沖縄の女性はこの17度が「寒い」というのだが、気温5度や6度の東京から来ると暑くも寒くもなく心地よい。

 

土産店「おきなわ屋」が大々的に商売しているのが分かる。右側に「泡盛」という字が見えるが、泡盛は沖縄独自の蒸留酒でファンは多い。沖縄の男は泡盛ばかり飲むと評判だ。アルコール度数は20度から40度まで様々だ。

 

ステーキハウス88。1960年創業の沖縄を代表するステーキハウス。沖縄は全国で最もステーキ屋が林立する地区である。「沖縄に来たらステーキを食べずに帰ることは許されない」と沖縄の男は私に言った。

 

知る人ぞ知る沖縄の裏名物「ハブ酒」。泡盛の中に毒蛇であるハブを漬けたものだ。これも土産物なのだが、中国人は買って帰るのだろうか。税関で没収されそうな代物だ。

展示されているこのハブ酒も売り物だ。蛇が一匹まるごと入っている。ハブ酒は、ハブの毒をそのまま漬け込んでいるのだが、なぜか人体に有害ではない。味はかなりクセがあると言われているが、好きな人は好きなようだ。滋養強壮にも良いと言われているが、本当にそうなのかは定かではない。

 

沖縄の首里城を模したような独特の店もある。首里城は言わずと知れた琉球王朝の王城である。薩摩藩が沖縄を支配するまで琉球王国は独自の文化を育む広大な王朝でもあった。

特集:ストリート漂流

 

ドヤ街、ちょんの間、歓楽街……。鈴木傾城が日本のいわくつきの場所を歩く。ブラックアジア「ストリート漂流」。

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