売春地帯では男たちは欲望のために、女たちは虚飾のために金がいる。No Money, No Honey(金がなければ蜜もない)は、売春地帯に沈没する人間の唯一絶対のルールである。
そのために、売春地帯には金のない人間に金を貸すヤミ金たちが闇の中でうようよと蠢いており、金に困窮した人間に暴利で金を貸し与えてすべてを奪っていく。
このヤミ金たちのことを「ローン・シャーク」と呼ぶのだが、今やタイ屈指の売春地帯と化したパタヤでも、こうしたローン・シャークが暗躍している。(ローン・シャーク(ヤミ金)。借金で地獄に堕ちていくタイ人たち)
日本でもそうだが、ヤミ金に関わる男たちというのは暴力団か、さもなくばチンピラやギャング上がりがほとんどだ。
なぜなら、金のない人間に金を貸すのだから、恫喝や暴力などの犯罪的手段で相手を追い込まなければならないからである。きれいごとではできないのがヤミ金のビジネスだ。だから「シャーク」と呼ばれている。
ところで、この稼業をやっているひとりの男がパタヤの夜の女に惚れて、殺人事件に発展した。
死んだのはもちろん女性の方だ。至近距離で顔面を撃たれ、自慢の美しい顔が破裂するように吹き飛んだ。6発の銃弾が撃ち込まれていた。なぜ、こんなことになってしまったのか……。