インフレ率は100万%。ベネズエラはもはや国家崩壊したも同然の国だ

インフレ率は100万%。ベネズエラはもはや国家崩壊したも同然の国だ

ベネズエラの反米左翼ニコラス・マドゥロ大統領は、権力の座の固執して国よりも自分の保身にばかり力を入れ、途方もない失策と無策によってベネズエラ経済を完全破壊した。

ベネズエラがここまで破壊されたのは、チャベス前大統領が行ったバラマキ政治と石油産業の国営化と通貨管理をそのまま継続して非効率な国家になっていたところに、2014年から急激な原油価格の暴落が重なったからだ。

反米国家は、ロシアもブラジルもベネズエラもみんな石油エネルギーに依存していたのだが、2014年以後の石油価格の暴落で国家経済は壊滅的ダメージを受けた。

これらの国家は石油の決済をドルからユーロに移行しようとしたり、反米国家同士で直接取り引きをしてドル基軸通貨の支配から逃れようとしていた。

ベネズエラもまたそうした国家の一員であったのだが、ベネズエラはとりわけ強烈な反米意識を持っていた国でもあった。結局、ドル基軸通貨に挑戦したことによって、ベネズエラ経済は一気呵成に崩壊に向かって突き進んでいった。

2014年から大混乱に見舞われたベネズエラは、その混乱から脱することができず、マドゥロ大統領の無策によってより破滅的な方向に転がり落ちている。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

店でカフェオレを2杯飲んだら1ヶ月分の給料の価格

「もうベネズエラという国は死んでいるも同然だ」と自国を脱出したベネズエラ人がアメリカのメディアに語っているのだが、それは真実だ。

現在のベネズエラは強烈かつ猛烈なインフレが吹き荒れている。インフレ率は100万%である。100%の間違いではない。100万%だ。「1,000,000%」と記せばその凄まじさが分かるだろうか。これぞ「ハイパー・インフレ」と呼ぶに相応しい。

ベネズエラ国内がどうなっているのかと言えば、このようになっている。

「銀行に長時間並んでも金が引き出せない」
「最低賃金はドル換算でいえば約3ドル」
「1ヶ月働いても牛肉1パックも買えない」
「そもそも牛肉も魚も売っていない」
「1ヶ月の給料で買えるのは卵30個だけ」
「店でカフェオレを2杯飲んだら1ヶ月分の給料の価格」
「スーパーに並んでも品物は何もない」
「新聞が発行できなくなっている」
「切符が発行できなくなっている」
「液晶テレビの価格は9億7000万ボリバル」
「富裕層向けレストランは一皿400万ボリバル」

ただし、これは一般市民の話だ。政権支持者はドルを手に入れることもできるし、富裕層向けのスーパーには所狭しと食料品が並んでいる。そのような極度の二極分化になっている。

国民も野党もマドゥロ大統領を合法的に退陣させようとしていたが、マドゥロ大統領は次々と強権を発令して国民を押さえ込み、野党を分断し、自らに都合の良い新憲法を矢継ぎ早に制定して議会を骨抜きにしてきた。

反政府デモが起きると暴力的に弾圧され、暗殺未遂事件が発覚すると、ますます反政府リーダーや野党に対する締め付けが厳しくなって独裁が強化されていく。ベネズエラはそのような国になった。

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ボリバルの終焉に備えて仮想通貨ペトロまで誕生

政治の無策によって極度のハイパー・インフレに陥った国として真っ先に名前を挙げられるのはジンバブエだろう。

ゼロが無限に付いたジンバブエ・ドルは有名になった。(ブラックアジア:ジンバブエが崩壊して、空前のインフレが起きた本当の理由

ベネズエラもまた同じ道を辿っている。あまりのインフレにベネズエラの通貨ボリバルは2018年08月20日より10万分の1にデノミされた。新通貨は「ボリバル・ソベラノ」となる。

100万%のインフレが起きて10万分の1にデノミするのだから、少しは数えやすくなるとは言うものの、ベネズエラの経済的混乱と政治的混乱が安定したわけでも何でもないので通貨に対する信頼はこれで解決したわけではない。

むしろ、新通貨である「ボリバル・ソベラノ」が手に入らず、旧紙幣では何も買えず、そうしている間に1ヶ月で物価が2倍になるインフレに巻き込まれて、ますます状況は混乱し、悪化する可能性が高まる。

国際社会のすべての国はベネズエラの通貨も政治も経済も信用していないから、ボリバル・ソベラノもあっという間に無価値になることを確信している。

マドゥロ政権も、もはや紙の紙幣などいくら刷っても無駄だと気づいており、奇策も用意している。それが「国営仮想通貨ペトロ」である。

この仮想通貨ペトロは石油を裏付けとした通貨であり、国民が新通貨ペトロを使うことによって無価値に収斂していくボリバルに備えている。

仮想通貨ペトロは成功するだろうか。

専門家は「仮想通貨ペトロは石油に裏打ちされたはずだが、その証拠がない」「そもそもマドゥロ政権の信用そのものがない」「管理が不十分」であるとして、この奇抜な手法に疑問を投げかけている。

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すでにベネズエラという国は崩壊している国である

ベネズエラの問題は、社会・政治・経済のすべての分野でマドゥロ政権がまったく機能しておらず、信用もされておらず、改善する余地もないことにある。

つまり、問題の元凶はニコラス・マドゥロ大統領自身にある。しかし、その肝心のマドゥロ大統領が辞任する意思をまったく持たずに権力の座にしがみついていることで問題が悪化している。

2018年8月4日、マドゥロ大統領が国家警備隊の関連式典で演説中に、プラスチック爆弾を積んだドローンが上空で爆発した事件があった。

ベネズエラ政府は事件に関与した疑いがあるとして軍高官や野党議員を含めた14人を逮捕している。

しかし、この事件ではマドゥロ大統領自身はまったく何の怪我もなく、終わってみればマドゥロ大統領の政敵だけが逮捕されている。

このことから、アメリカは「暗殺未遂は、マドゥロ大統領の自作自演ではないか」と疑問を投げかけている。

事件を起こして首謀者を政敵だと断言して排除する。それは、よくある手口でもある。

もし、そうやって独裁をより強化しているのであれば、ベネズエラという国はまだまだマドゥロ大統領の支配国家であるということであり、問題は何も解決しないということを意味している。

経済的混乱はさらに続き、ベネズエラという国は極度に弱体化してしまう。インフレ率100万%のベネズエラという国は、すでに崩壊しているようなものである。

治安も、もちろん崩壊しており、ベネズエラの首都カラカスは南米で最も治安の悪い国のひとつとなっている。刑務所も行政も機能しておらず、犯罪者は野放しだ。

このベネズエラに未来はあるのか。マドゥロ大統領が国の頂点にいる限り、答えは「ノー」だ。(written by 鈴木傾城)

ベネズエラの問題は、社会・政治・経済のすべての分野でマドゥロ政権がまったく機能しておらず、信用もされておらず、改善する余地もないことにある。つまり、問題の元凶はニコラス・マドゥロ大統領自身にある。しかし、その肝心のマドゥロ大統領が辞任する意思をまったく持たずに権力の座にしがみついていることで問題が悪化している。

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