上層部の秘密を暴こうとする人間は、「都合が悪くなったら消される」というのはサスペンス小説や映画でお馴染みのテーマだ。あるいは、秘密を知りすぎた人間が殺されるというのも、よくある設定だ。
2019年8月には、ジェフリー・エプスタインというセレブ御用達の未成年ハーレムを運営していた男が「刑務所で自殺した」という事件があった。(ブラックアジア:エプスタイン。政財界の大物相手にセックスビジネスをしていた大富豪の死体)
裏側では「これは自殺ではなくて口封じによる抹殺なのではないか」と噂されたのは記憶に新しい。エプスタインが実際に自殺したのか、それとも他殺だったのかは、誰にも分からない。
しかし、権力者にとって「都合の悪い人間」が、いつも絶妙のタイミングで自殺したり、事故に遭ったりするということについては、いかにも後味が悪い結末だ。「都合の悪い人間は抹殺される」というのは、別に小説家や映画監督のファンタジーではなくて、実際に起こっているのではないかと思わせるに十分な出来事でもある。
アメリカだけではない。ロシアを見ても分かる。
ロシアではプーチン大統領に逆らったジャーナリストは次々と抹殺されており、「通りすがりの殺人」だとか「自殺」扱いにして闇に葬られている。プーチン大統領は、KGB上がりの大統領であり、暗殺には躊躇がない。(ブラックアジア:毒殺の季節。プーチン大統領も政敵を毒殺で葬ろうとする)
最近では、野党指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏を神経剤ノビチョクで暗殺しようとした。その前にはプーチンを裏切った、元ロシア情報員セルゲイ・スクリパリ氏とその娘を暗殺しようとした。
国家権力が、あるいは権力者が、自分の邪魔になる人間を葬る。そして、自殺や事故みたいな処理をして終わらせる。日本に住んでいるとこうした事件は、まるで「映画みたい」「滑稽な陰謀論」みたいな扱いでしかないが、世界は決してそうではないということだ。
たとえば、アルゼンチンの高級娼婦ナターシャ・ジャイトはどうだったのか?