
現在の先進国は「民主主義」だと思われているが、それは間違いだ。本当は「資本主義」なのだ。それも、弱肉強食の資本主義だ。そのため、現代は資本主義特有の特権階級がある。現代社会の特権階級というのは、「金持ち」「資産家」のことである。彼らは何でも買える。たとえば、学歴でも……。(鈴木傾城)
プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。著書は『ボトム・オブ・ジャパン』など多数。政治・経済分野を取りあげたブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営、2019、2020、2022年、マネーボイス賞1位。 連絡先 : bllackz@gmail.com
資産の有無で違う人生を歩むことになる
以前、東京医科大学が長年に渡って「裏口入学」をさせていたということが発覚して大騒ぎになったことがあった。だが、裏口入学については今に始まったことではない。すでに世の中は「カネを持った人間」が得するようになっている。
あなたは巨額の資産を持った家系の生まれだろうか。それとも、ごく普通の生まれだろうか。いや、すでに貧困に落ちた家系だろうか。言うまでもないが、それによって、まったく違う人生を歩むことになる。
現在の先進国は「民主主義」なので、身分制度もないし、特権階級もないと思われている。もちろん、それは間違いだ。現代が「民主主義」というのは真っ赤な嘘で、本当は「資本主義」なのだ。それも、弱肉強食の資本主義だ。
そのため、現代は資本主義特有の特権階級がある。現代社会の特権階級というのは、「金持ち」「資産家」のことである。
資本主義の中では、当然だが資本を持っている人間が圧倒的に有利になる。いったん金持ちになった人は家族にも一族にもその恩恵を与えることができるようになり、経済的に成功した一族が特権階級化していく。
すると、どうなるのかというと、特権階級は世の中が自分たちの都合の良いように、なんでもカネに換算できるような世の中にしていく。たとえば、現代社会はそのほとんどの商品・サービスをカネで買うことができる。
それこそ、人間でも、愛情でも、カネで買うことができる。さらに言えば、「身分・地位・立場・学歴」もまたカネで買うことができる。貧困層にとって学歴は買えないものと感じるかもしれないが、特権階級と化した富裕層にとって、学歴なんかは「ただの売り物」なのだ。
彼らは、学歴を買えるのだ。
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カネさえあれば上場企業の社長になれる
学歴だけではない。社長の身分でさえ買える。たとえば、あなたが自分の勤めている企業の社長になりたいとする。どうするだろうか。「会社に尽くし、何十年も多大な貢献をし、それによって皆に認められるように努力して社長になる」と、あなたは考えるかもしれない。
それが、普通の答えではないだろうか。それは正々堂々とした真っ正面の手法だ。本来、世の中はそうであるべきだ。一生懸命に勉強し、努力した人が認められるのが社会であるべき姿でもある。
だが、どこかの企業の社長になるには別の方法もある。
その会社の株式を50%以上取得するだけでいい。そうすれば、ほぼその企業を手中に収めたことになり、あなたは代表取締役でも役員でも何でもなれる。つまり、カネさえあれば、そのカネで会社をも買うことができて、結果的にその会社でどんな身分にでもなれる。
その会社について何の貢献も、知識も、努力もいらない。その会社が何を作っている会社なのか、知る必要すらもない。何十年も会社に尽くす必要などまったくない。何も知らなくてもいい。
非上場会社の株を手に入れるのは難しいが、上場会社であれば普通株式が買えるのだから、理論的には、ただカネを用意して株式市場で合法的に50%取得すればいいことになる。
上場企業で、時価総額が10億や20億以下の会社など、ざらにある。日本の上場企業でも10億円以下は50社は超える。それこそ、5億円ほどあれば、あなたは上場企業の社長になることすらも可能なのだ。
それをするかどうかは別にして、カネがあればそのようなことをすることができる。いきなり上場企業の社長である。
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富裕層が自分たちの特権を正当化する方法
世界中の多くの由緒ある一族、すなわち支配層に入る富裕一族は、そうやって莫大な富にモノを言わせ、有力な企業の役員となって何ら苦労もなく地位も名誉も巨額配当も手に入れることが可能にしてきた。
つまり、富裕一族はありとあらゆる場面でカネを支払うことによって、恵まれた社会的な恩恵を受けることができるようになるのだ。
もちろん、彼らが学歴をカネで買うことができるのは「当然のこと」である。世界中の多くの支配者層・富裕層の子供たちが、オックスフォード大学やハーバード大学の学生であり出身である。
当たり前だが、富裕層の子供たちがみんな天才だったわけではない。欧米の大学では、親が支配者層であれば、名門大学は入学と卒業を可能にするシステムが歴然として存在するのだ。
欧米の有名大学もそうなのだから、日本の大学もまた似たようなものだと思えばいい。学歴も「カネで買える」というのが現実だ。では、特権階級がその学歴を買う価値があるのだろうか。
もちろん、ある。
なぜなら、一般庶民は高学歴な人間はエリートで、そのエリートが普通の人よりもはるかに好待遇・高収入の上級国民になっても当たり前と思ってくれているからだ。「エラい人だから良い暮らしをする権利はある」と納得してくれる。
つまり、学歴を買っておけば、富裕層は自分たちの特権を正当化できる。実は、特権階級の特権を正当化するのが、学歴の隠された役割でもあったのだ。
有名大学を「狭き門」にしておき、庶民でも有能で使えそうな子供たちを努力させてそこにくぐらせて、大半を「勉強できなかったから入れなかった」ということにして納得させる。
そして、その有名大学に入った人間たちをエリートということにして、特権階級にしてしまう。富裕層は、それをカネで買って自分たちが特権階級となる「権利」をカネで手に入れる。
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カネがないと学歴が得られない社会になっていく
学歴がカネで買えるという裏事情があれば、支配者層はもちろん学歴をカネで買う。そうすると、金持ちの一族の子供は、ぼんくらだろうが何だろうが、ひとまずは高学歴になる。
そして「高学歴=エリート層=特権階級」ということにしておけば、身分制度がないはずの現代でも特権階級が合法的に作れる。
だが、庶民がみんな次々と特権階級になったら困るので、学費をどんどん上げて一般の人々が高学歴を取りにくい社会にしておく。奨学金制度があるとは言えども、先進国の有名大学はほとんどが非常に学費のかかる仕組みになっている。
つまり、カネがないと学歴が得られない社会になりつつあるのだ。これは、これからもっと顕著になっていく。なぜなら、そうすることによって「学歴身分制度」が維持できるからである。
わかりやすく言うと、世の中はこのようになっている。
(1)世の中を学歴社会にする。
(2)支配者層は学歴をカネで買う。
(3)低所得層には競争させる。
(4)教育にカネがかかるようにする。
(5)低所得層はカネ不足で進学不可になる。
(6)低学歴の人間の身分を下で固定化する。
もちろん、奨学金制度や、本人の血のにじむような努力によって名門大学の学歴を手に入れる真の秀才・天才が世の中には何千人かいて、普通の家庭の子供でも学歴社会のトップに上りつめることも可能だ。だから、特権階級は、それが「身分制度ではない」と言い張ることができる。
庶民には、その秀才たちが目くらましになって、学歴身分制度の仕組みは見えなくなっている。学歴がないのは、自分が勉強しなかったり、自分の頭が悪いからであり、自分の能力に限界があるのであれば、給料が低くても出世しなくても「しかたがない」と思うようになる。
つまり、すべては自分のせいであると思い、自分の低い身分に納得するようになる。特権階級がそれをカネで買っているとは考えもしないで……。
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特権階級が学歴をカネで買っているという事実を知っていれば、一般庶民も自分に仕掛けられた「資本主義のワナ」に気づくのだが、ほとんどの人はそれを知らないまま一生を過ごす。
だから、一般庶民は何かにつけて「努力」することを強いられる。努力はたしかに尊いものであり、人間が人間らしく生きる上で必要不可欠なものだ。努力することによって人は成長する。努力することは無駄ではない。
高学歴を手に入れるというのは、勉強するということだが、勉強は個人的にも重要なものだ。だが、一方で努力が押しつけられ、一方ではそれがカネで買えるようになっているのだとすれば、それは大きな社会矛盾である。
とは言っても、その社会矛盾は多くの人には見えていないようにされている。見えていないから、「学歴による身分制度」が固定化されたことも気づかない。もう一度、その意味を確認して欲しい。
・教育にカネがかかるようにする。
・低所得層はカネ不足で進学不可になる。
・低学歴の人間の身分をカネ不足で固定化する。
現代社会は「資本(カネ)」を持っている一族が特権階級であり、特権階級は身分も、地位も、立場も、学歴も、すべてカネで解決することができるようになっている。逆に言えば、カネがなければ何も解決できない。
まさしく、カネで分離された身分制度が資本主義なのだ。
現代は民主主義だと思い込んで、「民主主義をどう良くするか?」みたいな話をしている人を見たら、私は失笑してしまう。「お前はどこの世界を生きているのだ?」と声をかけたくなる。
現代が民主主義だと思っている人は、たぶん学校でそう教わって素直にそれを信じた人なのだろう。現代社会が民主主義なわけがない。ただの弱肉強食の資本主義である。
ついでに言うと、学校では「金儲け」も「金融リテラシー」も教えない。そんなものを教えたら庶民が金持ちになってしまうかもしれないからだ。1%の特権階級にとっては99%が自分たちに支配される側でいてくれたほうが都合がいい。
だから、「金儲け」も「金融リテラシー」も教えないのは既定路線でもある。








コメント
> 学校では「金儲け」も「金融リテラシー」も教えない。
> そんなものを教えていたら、庶民が金持ちになってしまうかもしれないからだ。
「教育」がもはや「調教」になっている気がします。支配者層にとって都合の良いように、一生懸命働いて死ぬまで彼等に尽くすように、庶民層が(教育ではなく)調教されている、という意味で。
今、ざっと考えついたことだけでも、実際、学校教育では、
・税金の支払い方や、確定申告の仕方や、それらの必要性
・労働三法(労働基準法、労働組合法、労働関係調整法)、労働安全衛生法(安衛法)
・英語(大学受験に出題される問題を解く英語力ではなく、ネイティブ話者相手にプレゼンや討論をしたりする能力や、外国の業者を相手にしての物・サービスの売買交渉に必要な文章作成能力)
といったことは、生徒や学生には教えないしなぁ。
死ぬまで庶民層が知らないままでいてくれる方が支配者層にとって都合の良いことが、世の中にはたくさんありそうです。
庶民階級の多くはいくら株式投資を勧めても株式を買おうとしません。
彼らは自ら永遠に底辺層にいて
永久に資本家に搾取されて苦しみたいのだろうか?
と不思議に気持ちになりました。