学歴社会は特権階級にとって素晴らしい社会。なぜなら学歴はカネで買えるから

学歴社会は特権階級にとって素晴らしい社会。なぜなら学歴はカネで買えるから

学歴が高ければ高いほど社会的に優遇され、そこから特権にアクセスできるようになる。だから富裕層がカネでそれを買う仕組みが裏側にあり、彼らの子供たちは馬鹿に見えてもみんな素晴らしい学歴である。学歴も「カネで買える」というのが現実で、それを享受する人間たちがいる。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。著書は『ボトム・オブ・ジャパン』など多数。政治・経済分野を取りあげたブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営、2019、2020、2022年、マネーボイス賞1位。 連絡先 : bllackz@gmail.com

カネさえあればどんな身分でも「買う」ことができる

それが幸せかどうかは別にして、あなたがどこかの企業の社長になりたいとする。どうやって社長になればいいのだろうか。

「その企業に尽くして何十年も多大な貢献をし、それによって多くの人に認められるように努力する」

それが、あなたの答えではないだろうか。まさに、それは正々堂々とした真っ正面の手法だ。世の中はそうであるべきで、一生懸命に勉強し、努力した人が認められるのが、社会であるべき姿でもある。

だが、どこかの企業の社長になるには別の方法もある。その会社の株式を50%取得するだけでいい。そうすれば、ほぼその企業を手中に収めたことになり、あなたは代表取締役でも役員でも何でもなれる。

つまり、カネさえあれば会社をも買うことができて、結果的にその会社でどんな身分にでもなれる。

その会社について何の貢献も、知識も、努力もいらない。その会社が何を作っている会社なのか、知る必要すらもない。何十年も会社に尽くす必要などまったくない。

非上場会社の株を手に入れるのは難しいが、上場会社であれば普通株式が買えるのだから、理論的には、ただカネを用意して株式市場で合法的に50%取得すればいいことになる。

上場企業で、時価総額が10億や20億以下の会社など、ざらにある。日本の上場企業でも20億円以下は470社は超える。

5億円や10億円ほどあれば、あなたは上場企業の社長になることすらも可能なのだ。カネがあれば、そのようなことをすることができる。カネがあればいろんなものが買えるのだ。学歴? 学歴もカネで買えるものの1つだ。

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支配者層であれば、名門大学は入学と卒業を可能にするシステム

世界中の多くの由緒ある一族、すなわち支配層に入る一族は、そうやって有力な企業の役員となって何ら苦労もなく地位も名誉も巨額配当も手に入れている。

つまり、金持ちはありとあらゆる場面でカネを支払うことによって、恵まれた社会的な恩恵を受けることができるようになる。こういう仕組みなので、学歴もカネで買うことができるのは「当然のこと」である。

以前、アメリカでセレブを巻き込んだ裏口入学が明るみに出たことがあって、このときに「自由競争の原則はどこにいったのだ」とアメリカ人は嘆いた。だが、振り返ってみると、世界中の多くの支配者層の子供たちが、オックスフォード大学やハーバード大学の学生であり出身である。

アウンサン・スーチーも、ベナジール・ブットも、インディラ・ガンジーも、みんな有名大学の出身だ。彼らはみんな天才だったわけではない。彼らはそれぞれの国の特権階級の子弟、すなわち支配者層の子供たちだった。

つまり、親が特権階級であれば名門大学は入学と卒業を可能にするシステムが世の中にある。欧米の有名大学もそうなのだ。日本の大学もまた似たようなものだと思えばいい。学歴も「カネで買える」というのが現実だ。

学歴は買う価値があるのだろうか。もちろん、ある。なぜなら、学歴でその人の人生は「ほとんど」が確定するからだ。高学歴は優遇され、低学歴は下層に落とされる。

今の社会は建前的には身分がないことになっているのだが、人間は身分を作りたがる社会的動物である。かつては、それが親の身分だったりしたのだが、現在は「学歴」で人物を推し量る決まりになった。だから、現代の社会は「学歴身分制度」になっている。

学歴が高ければ高いほど、社会的に優遇されてそこから特権にアクセスできるようになる。だから特権階級がカネでそれを買う仕組みが裏側にあって、彼らの子供たちは馬鹿に見えてもみんな素晴らしい学歴である。

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学費をどんどん上げて一般の人々が高学歴を取りにくい社会にする

学歴社会は支配者層には非常に好都合な制度である。学歴社会こそが現代の身分制度であり、自分たちの地位を守るものになるからだ。それは、自動的に身分を固定化させる働きをする。

学歴がカネで買えるという裏事情があれば、支配者層はもちろん学歴をカネで買う。そうすると、金持ちの一族はみんな高学歴になる。

そして、現代社会を学歴社会にして、学費をどんどん上げて一般の人々が高学歴を取りにくい社会にすれば、学歴による身分制度が完成する。

奨学金制度があるとは言えども、先進国の有名大学はほとんどが非常に学費のかかる仕組みになっている。日本でも同様だ。

カネがないと学歴が得られない社会になりつつあるのだが、これはこれからもっと顕著になっていく。なぜなら、そうすることによって「学歴身分制度」が完成するからである。わかりやすく言うと、世の中はこのようになっている。

1. 世の中を学歴社会にする。
2. 支配者層は学歴をカネで買う。
3. 低所得層には競争させる。
4. 教育にカネがかかるようにする。
5. 低所得層は資金不足で進学不可になる。
6. 低学歴の人間の身分を固定化する。

もちろん、奨学金制度や、本人の血のにじむような努力によって名門大学の学歴を手に入れる真の秀才・天才が世の中には何千人かいて、普通の家庭の子供でも学歴社会のトップに上りつめることも可能だ。

しかし、逆にその数千人の秀才が目くらましになって、学歴身分制度の仕組みは見えなくなっている。

学歴がないのは、自分が勉強しなかったり、自分の頭が悪いからであり、自分の能力に限界があるのであれば、給料が低くても出世しなくても「しかたがない」と思う。

つまり、すべては自分のせいであると思い、自分の低い身分に納得するようになる。特権階級がそれをカネで買っているとは考えもしないで……。

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教育を高額にして低所得層を進学不可にする

世の中には裏がある。学歴も「売り物」であるというのも裏の事実である。特権階級はいつでもそれを買えるので、学歴のために努力しなくてもいい。だが、一般国民は何かにつけて「努力」することを強いられる。

「普通の人は必死で努力して学歴を手に入れようとしているが、特権階級はカネで簡単に手に入れる」という現実を、あなたはよく噛みしめる必要がある。

努力はたしかに尊いものであり、人間が人間らしく生きる上で必要不可欠なものだ。努力することによって人は成長する。努力することは、けっして無駄ではない。勉強は個人的にも重要なものだ。

しかし、一方で努力が押しつけられ、一方ではそれがカネで買えるようになっているのだとすれば、それは大きな社会矛盾である。ところが、その社会矛盾が、多くの人には見えていない。

見えていないから、「学歴による身分制度」が固定化するように支配者層が動いていることすらも気づかない。もう一度、その意味を確認して欲しい。

・教育にカネがかかるようにする。
・低所得層は資金不足で進学不可になる。
・低学歴の人間の身分を固定化する。

現代社会は「カネ」を持っている一族が特権階級であり、特権階級は身分も、地位も、立場も、学歴も、すべてカネで解決することができるようになっている。

最近、日本では特権階級のことを「上級国民」と言うようになっている。この「上級国民」なるものはいろんな特権を持っていて、学歴をカネで買えるというのもそのひとつである。

上級国民は簡単に手に入れることができるようにして、一般国民は難しい状況にすれば、学歴社会が進むことは上級国民にとっては素晴らしいことなのだ。そういう社会になっていることを私たちは自覚しておくべきだ。

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