4年後、世界は無法地帯と化しているかもしれない。少なくとも、途上国はすさまじくひどい状況に陥っている可能性がある。暴力、疫病、内戦、新たな戦争、飢餓、天災、貧困悪化が急激に進むかもしれない。
今までにないほど、途上国は危険になっていく覚悟を私はしている。
理由は米国トランプ政権の外交戦略だ。トランプ大統領の再選から1か月あまり経ったが、アメリカの対外政策は劇的な転換を見せている。その中心にあるのが、国際開発支援の大幅な縮小だ。
まず目を引くのは、USAIDの事実上の解体である。約1万人の職員のうち97%が解雇される見込みだ。これは単なる人員整理ではない。アメリカの国際開発支援を、ほぼゼロにする動きである。
アフリカ支援の象徴的存在だった「パワー・アフリカ」も終了した。電力不足に悩むアフリカ諸国の発展に大きく貢献してきたこのプログラムの終焉は、アフリカの人々に深刻な影響を与える。
国内でも連邦政府職員の大規模削減が進行中だ。早期退職の募集が始まり、数千人規模の人員整理がおこなわれる。イーロン・マスク氏が掲げる2兆ドル(約300兆円)の予算削減目標は、政府機能の大幅な縮小なしには達成不可能だが、マスク氏はそれを強引かつ急激にやろうとしている。
国際的な医療援助も大きく後退する。50カ国以上の治療・予防プログラムが影響を受ける。世界保健機関(WHO)への拠出金削減も決定的だ。これらの措置は、グローバルな公衆衛生プログラムに深刻な打撃を与える。
生物医学研究への助成金も大幅カットされる。国立衛生研究所(NIH)の助成金の間接費を数十億ドル削減する計画だ。これは医学の進歩を遅らせる可能性がある。消費者金融保護局(CFPB)の縮小または閉鎖も検討されている。これは医療費関連の消費者保護に影響を与えかねない。
これらがすべて、急激におこなわれている。これで、世界が今まで通りだと思うほうがどうかしている。世界情勢は「急変」するだろう。
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