オーストラリア政府は、外国人労働者の搾取と不法就労に対処するため、2022年11月より「イングルヌック作戦(Operation Inglenook)」という国家的な水際作戦を実施している。もっと具体的に言うと、外国人女性によるセックスワークの水際摘発のための作戦である。
「イングルヌック」というのは、日本でいえば「炉端」を表すニュアンスだが、なぜこんな作戦名にしたのだろう。
一説によると、派手な軍事行動ではなく、水面下の捜査・摘発をおこなう静かな作戦であることから、炉端という静かなで、どこか密かな空間を意味する言葉が選ばれたと言うことだ。本当のところはどうなのかわからないが、ほとんどの日本人が知らないのは、「密かに、静かに、おこなわれている」こともある。
オーストラリアでは、観光ビザや短期滞在ビザを利用して入国し、主にセックス産業で不法に就労する女性が大勢いる。この作戦は、それを斡旋する犯罪組織や女性を摘発・排除することを目的としたものだ。
日本人女性も例外ではない。例外どころか、日本人女性はかなり強い疑惑の目で監視されている。知らないのは、当の日本人だけである。オーストラリア国境警備隊のサイトでも、日本人の摘発のケースが掲載されている。
『メルボルン空港に到着した2人の日本人女性が、観光ビザ(サブクラス601)での入国審査中に、セックスワーク目的での渡航であることを自ら認めた』というものだ。
オーストラリア国境警備隊(ABF)は、この2人が「イングルヌック作戦」のプロファイルと一致したため面接を実施。1人は明確にブロッソル(売春施設)での就労を予定していたと供述し、両者のビザは「移民法1958(Migration Act 1958)」の規定に基づき即座に取り消された。
その後、2人はメルボルンの「移民収容施設」に移送されたのち、6月30日に強制送還された。「まさか日本人が?」と思うだろうか。それとも、「やっぱり日本人か」と思うだろうか? オーストラリアでは、すでに若い日本人女性はオーストラリア国境警備隊には、セックスワークと同義で見られている。
なぜなら……