◆弱肉強食の資本主義の闇。3つのタイプの人身売買が社会から根絶できない理由

◆弱肉強食の資本主義の闇。3つのタイプの人身売買が社会から根絶できない理由

人身売買と聞くと、法が機能していない途上国で女性がいきなりさらわれて売春宿に放り込まれるというものだけを想像するかもしれないが、じつはそうではない。今の日本でも普通に人身売買がおこなわれていると言ったら驚くだろうか。

たとえば、ホストが女性にどんどん貢がせ、売掛《ツケ》を負わせ、それをネタにして風俗店に売り飛ばして売上を搾取するのも、完全に人身売買である。スカウトが女性を強引に口説いて風俗に落として、その売上から一部を吸い上げるのも人身売買である。

外国では、犯罪組織がそれをより過激に、暴力的に、苛烈にやっている。

人身売買は、現代社会に深く根づいた闇の産業だ。国連薬物犯罪事務所(UNODC)の2024年版報告書によると、2016年の時点で、世界には約4,030万人の人身売買被害者がいたと推定される。

その内訳は、子供が約25%、女性が約71%を占める。地域別では、アジア太平洋地域が全世界の62%ともっとも多く、次いでアフリカ地域が23%、ヨーロッパ・中央アジアが9%、アメリカが5%、アラブ諸国が1%となっている。

だが、発覚しているのは氷山の一角に過ぎず、実際の被害者数はさらに多いとUNODCは推測している。

世界の人身売買被害件数は2019年から2022年のあいだに25%も増加した。LCC(格安航空会社)が広がっている今、国境を越えた人身売買も深刻になっている。

国境を越えた人身売買と言えば、その被害者の31%はアフリカ出身で、ヨーロッパや中東に送られるケースが多い。アフリカでは治安の悪化、避難、気候変動などが人身売買の要因となっている。

この人身売買だが、目的や手口の違いによって大きく三つに分類される。

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