2021年9月7日。世の中がコロナ禍で混乱している中、アメリカのカリフォルニア州議会は「ステルシング(stealthing)」を違法にする法案を満場一致で可決し、10月10日に州知事が署名したことで法律が「ステルシング禁止法」として成立することになった。
この法案を提出したのはクリスティーナ・ガルシア議員だった。彼女はこれを「すべての女性が望んでいたもの」と喜びを隠さなかった。
日本人には「ステルシング」というのは聞き慣れない言葉なのだが、これは性行為の最中に相手の女性に同意なくコンドームを外す行為である。欧米ではこうした行為が横行していて、女性の3人に1人はステルシングの経験があると大学に研究で報告されている。
クリスティーナ・ガルシア議員がこの法案を提出して精力的に動いたのは、「SNSで男たちがどうやったらステルシングを成功させることができるのか」「ステルシングの方法を教えてくれ」と情報交換しているのを見て怒りを感じたからだったという。
多くの女性がステルシングの方法について男たちが情報交換していることにショックを受け、この法案を通すのに協力した。
女性にとって、見知らぬ男性とのセックスに慎重になるのは、いくつも理由がある。男性に乱暴な扱いをされるかもしれない。男性はコンドームを使ってくれないかもしれない。性病をうつされるかもしれない。ただ遊ばれて捨てられるだけになるかもしれない……。
妊娠しても責任を取ってくれないかもしれない、というのもある。そのためにコンドームを使うのだが、それでも安全ではなかったのだ。ステルシングされるかもしれないからである。