私が日本の風俗が「残酷な場所だ」と思うのは、女性たちには何の防御もなく性サービスを強要されており、それが当然のように受け止められているからだ。今後、コロナ禍も収束に向かっていくと、再びインバウンドがうなりを上げて回転していく。
衛生観念や性病に対する予防は国によって差がある。当然、日本よりも衛生観念が甘い国もたくさんあるわけで、そうした国の男性を介して日本人の風俗嬢に予期せぬ性病が広がったりする可能性が少なからずある。
実際、梅毒はインバウンドが拡大した2014年から急激に増えて、主に20代の女性が梅毒の罹患者となった。その多くが風俗嬢であったことは言うまでもない。大阪のクリニックでは「インバウンド梅毒」という言葉で事象を説明する医師もいたくらいだ。
日本の風俗ではコンドームを使わない性サービスが常態化しているのである。梅毒もHIVもインバウンドの再開と共に日本に定着し、拡大していくだろう。さらに言えば、抗生物質が効かないスーパー淋菌も広がるだろう。
もっと悲惨なこともある。
2022年4月に施行された改正民法では、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたので、これに伴って、風俗業界やアダルドビデオ業界にも18歳がなだれ込んでくる可能性が出てくるのである。
政府与党では、女性団体の突き上げもあって、「問題のある契約は取消ができるようにする」だとか「いかなる出演契約であっても、撮影までは無条件に、撮影後も相当期間を経過するまでは無条件に解除できる」だとか「出演者の利益を一方的に害する契約条項は無効とする」というAV被害議員立法が成立しそうだ。
しかし、これが本当に機能するのか、そもそも本当の恐ろしさは、法の規制が届かない裏社会《アンダーグラウンド》に18歳女子が飛ばされることではないかという点もあったりする。