閲覧注意
インド圏では自分の言うがままにならない女性をアシッド・アタック(酸攻撃)するという卑劣な犯罪が、何十年も前から延々と続いている。
バングラデシュでも、パキスタンでも、アフガンでも、イランでも、そしてインドでも、莫大な女性が酸を浴びせられ、顔面を破壊されているのである。
卑劣で、卑怯で、残虐で、おおよそ人間が考える犯罪ではない。
女性の容姿を完全に破壊し、その後の人生に激しい苦痛と恐怖を与えるこの犯罪が「珍しくない」とは、いったいどのような世の中なのだろうか。
苦境に陥っているアーチャナ・クマリ
2009年にアシッド・アタックされ、医療費が払えずに苦境に陥っているアーチャナ・クマリという女性が、インドの英字新聞「ザ・ヒンドゥー」で紹介されていた。
彼女は隣人から2年以上に渡ってストーキングされ、性的な嫌がらせを受けていたが、男を頑として拒み続けていた。
そして2009年11月12日のこと、男は歩いて彼女の家にやってきて、そして彼女に酸を浴びせたのだった。
言うまでもなく、インドの警察は被害者・加害者の力関係で事件を握りつぶしたり、なかったことにしたりする。
彼女の父親は教育もない一介の労働者に過ぎず、警察がまともに調査をするはずがなかった。また、警察沙汰にすることによって、さらなる報復を受ける可能性があった。
酸攻撃された彼女の治療のために、そして何よりも、さらなる攻撃を受けるのを恐れ、彼女の両親は傷ついた彼女をウッタール・プラデシュから連れ出してデリーに移った。
酸攻撃された証拠を書類として提出して下さい
彼女の両親は、傷ついた娘アーチャナ・クマリのために、持てる財産をすべて治療費に充てた。
入院費、医薬品代、検査代、治療費、交通費、生活費……。
彼女の母親が持っていた大切なジュエリーから何まで売り飛ばし、さらにあちこちから借金を重ねた。
そして、彼らは限界に達した。
政府に助けを求めると、資金援助を受けるためには「アシッド・アタックされた証拠を書類として提出して下さい」と言われて追い返されたという。
彼女が悲惨な姿になっているのはどうでもよくて、アシッド・アタックされたことが確実であるという証明書を出せというのである。
ところが、彼女とその家族はさらなる報復を恐れて身を隠しており、当時は警察によって十分な調査を受けていなかった。だから、書類が用意できないのである。
そして、彼女は新聞の取材を受け、自らの苦境を訴えることになったのだった。
効果はあったようだ。
政府はすぐにこの報道に反応し、「すべての女性が不当に苦しむことがないよう対処」することを確約した。
そして、彼女を専門の病院で治療を受けさせて、他の要求にも応えていきたいとしている。
躊躇なく女性に酸を浴びせる男が、山ほどいる
アーチャナ・クマリは当面は何とかなる。しかし、この物語は決してハッピーエンドではない。
彼女はアシッド・アタックの結果、どうなったのか。写真を見ても分かる通り、もう彼女の片目はまったく見えなくなってしまっている。
そして、彼女の左耳も聴力を完全に失った。彼女の顔半分は溶解し、彼女の身体もケロイドになってしまった。
これからも彼女は長い困難な治療を受ける必要がある。そして、どんなに治療を受けたとしても、完治することはない。失った容姿は取り戻すことができず、彼女は人生を失った。
女性にアシッド・アタックするというインド圏の卑劣な犯罪はこれで収束したわけでもないし、根本的な対処もまったくなされていない。
私が激しい怒りを感じるのは、こういった残虐なアシッド・アタックが、まるで日常茶飯事にインド圏では起きていることである。
以前、「ジーンズを履いた女性はインドの伝統に反している。見かけたらアシッド・アタックする」という脅迫が女子大学に掲示されて、大騒ぎになったという事件があった。(ジーンズの女性には硫酸テロをすると宣言するインド民族主義者)
日本の女性に「酸攻撃(アシッド・アタック)」と言っても、大半の女性はそれがどんなものだか理解できないはずだ。そんなことをする男はいないからだ。
しかし、インド圏には、何の躊躇もなく女性に酸を浴びせる男が山ほどいて、毎年毎年、何百人もの女性が犠牲になっているのである。
私は、これが許せない。
アシッド・アタックについては、このブログだけではなく、ダークネスでもしばしば取り上げている。
卑劣な男たちの狂気の犯罪が蔓延していることに、世界中の女性たちが声を上げてくれることを心から願っている。
・女性に酸を浴びせて顔を損壊させる事件の裏に何があるのか
・バイオレンス。カンボジアに渦巻く暴力の裏に何があるのか
・ケイティ・パイパー。アシッド・アタックから立ち直った女性
・パキスタンでアシッド・アタックした男が無罪放免になった
【インド】
アシッドアタックのあまりの酷たらしさに、傾城様のご記事を読むたびに悶絶しています。
痴情のもつれで可愛さ余って憎さ百倍、激情のあまり、あるいは恐怖にかられての刃傷沙汰というのも由々しき事だし酷いに変わりはないのですが、アシッドアタックの酷さ、禍々しさは、何と言うか、独特のものがあります。生きた人に油をかけて火をつけるというのもこの範疇に入るかもしれません。苦しみのたうちまわらせる事が目的の、嗜虐の極みです。邪悪の極みです。一体どういう感性、メンタリティーの持ち主がそんな事ができうるのかと、到底理解の外だし、言葉にできない恐怖感・嫌悪感・何だろう、とにかく悶絶です。
そんな事ができる人間は社会的階層に関係なく生かしておいちゃならないという気持ちになります。また、そんな事ができてしまう人間が結構な数いる以上、工業用だか何だか知りませんが、強酸(強アルカリも)などという危険物が手軽に個人の手に入り、持ち歩けるというのがそもそも間違っています。我が国の銃刀法違反なみに(いや、もっときつく)取り締まったらどうです。いっぱしに国張っててせめてそのくらいの管理が何でできないんですかと問いたいです。やる気がないとしか思えない。
それは話が違うだろうという批判を覚悟で言いますが、たかだかクジラを獲って食ったぐらいの事でヤイヤイ騒ぐより、アシッドアタックのこの惨状にたいして船でも出してワイワイ騒ぐ過激派国際団体はないものかと思います。私自身は6畳間で悶絶するしか能のない役立たずで恥ずかしいのですが・・・。aurore
まったく、困ったものです。
どうして、こんなことが許されるのか。
痛みを分からないのでしょうか。
日本では、かつて美空ひばりさんが塩酸をかけられたそうですね。幸い大事には至らなかったようですが、(私が生まれる前の事件なのでよく内容を知らないのですが)有名人・政治家等の方々は他の手段での危険性は未だになくなりませんが、アシッドアタック事件は日本ではあまり起こっていませんね。薬剤・化学毒物の管理や銃刀類の管理が法律で一応統制できているからだと思います(とは言っても闇ルートでは20万円位で銃が手に入ってしまいますが)。しかしアシッドアタックのかわりに、日本ではDVがあるのではないでしょうか。外見を損なって一生をだめにするという意味ではアシッドアタックの方が当然より悪辣だと思いますが、男性の家庭内暴力(夫や子供からの)に泣いている女性はたくさんいると思いますよ。なぜ離婚しないのか・・ですが、子どもや親族や世間体のためとか、何よりも仕事につけるか否かが重要な要因ではないでしょうか。それにしてもアシッドアタックは絶対に許せない因習だと思います。どこかの国でアシッドアタックを受けて失明した女性への裁判での判決が、その男を失明させてよい、ということがありましたが、その女性は行わなかったそうです。こんな法律、くそくらえです。