イギリスが史上最悪の「ポン引き国家」であった事実と人類のドラッグ禍の歴史

イギリスが史上最悪の「ポン引き国家」であった事実と人類のドラッグ禍の歴史

阿片(あへん)が国中に蔓延するのを防止しようとする清に対して、イギリスは強引にそれを認めさせようとしていた国家である。当時のイギリスは、まさに世界最大の「ポン引き国家」だった。清という国家が国民を守るために阿片を禁止したら、それに難癖を付け「ドラッグを売らせろ」と言ってイギリスが戦争を仕掛けた。イギリスは4000人もの軍隊を中国に送り込んで戦争に臨み、2年に及ぶ紆余曲折の戦いの結果、最終的に清を完全に屈服させた。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

人類は、ドラッグを撲滅することに失敗し続ける

芸能人がドラッグで逮捕されたら、「ドラッグは危険」だとか「ドラッグは撲滅させるべき」だと多くの人がしたり顔で口にするのだが、はっきり言うとドラッグを撲滅させることは無理だ。これは100%断言できる。

どんなに時代が変わっても、人はドラッグに取り憑かれる。ドラッグが人生を破滅させ、肉体を破滅させ、精神を崩壊させる。それに取り憑かれれば、最終的には精神的にも肉体的にも廃人同様になってしまう。

そんなことは誰でも知っている。しかし、人はそれを「終わり」にすることができない。人類は今までドラッグを捨てたことは一度もないし、これからもドラッグを撲滅することに失敗し続ける。

生物は快楽に弱い。ドラッグは快楽を約束する。快楽を求める人類は、必然的にドラッグから離れられないのだ。

かつて中国は、イギリスの東インド会社が持ち込んだ大量の阿片(あへん)で、国中
の人々が阿片中毒になった。この事実は歴史の教科書で覚えている人もいるかもしれない。

当時の中国は「清」の国だった。清はイギリスから大量に流れこんでくる阿片と、膨大に流出する銀(阿片の決済は銀で行われた)に業を煮やして、厳しい禁止令を出した。しかし、それでも阿片貿易は止まらなかった。

1839年、清は阿片の貿易を強硬に禁止して、イギリスはそれを不服として中国に戦争を挑んだ。これが阿片戦争だった。

ブラックアジアでは有料会員を募集しています。よりディープな世界へお越し下さい。

イギリスはドラッグで稼いでいた悪徳国家である

香港が中国に飲み込まれ、一国二制度は崩壊してしまうのではないかと世界は固唾を飲んで香港の行方を見つめている。私たちは中国共産党政権に「自由と民主主義の象徴」である香港を支配して欲しいとは思っていない。

香港の自由と民主主義は守られて欲しい。

ところで、この香港はなぜ中国とは「別の社会制度」になっているのか。なぜ香港は西側と通じる資本主義の拠点になっているのか。それは、香港はずっとイギリスの植民地だったからである。

では、イギリスはいかにして香港を植民地にしたのか。その裏側に「ドラッグを売りつけて非合法に儲ける暴力国家」としてのイギリスの姿があったことを私たちは忘れてはならない。

阿片が国中に蔓延するのを防止しようとする清に対して、イギリスは強引にそれを認めさせようとしていた国家である。当時のイギリスは、まさに世界最大の「ポン引き国家」だった。

清という国家が国民を守るために阿片を禁止したら、それに難癖を付け「ドラッグを売らせろ」と言ってイギリスが戦争を仕掛けた。

阿片というドラッグを売りつけようとするイギリスに、それを阻止しようとする清。道徳的に考えると、清の方が正しい。しかし、イギリスは4000人もの軍隊を中国に送り込んで戦争に臨み、2年に及ぶ紆余曲折の戦いの結果、最終的に清を完全に屈服させた。

そして、清は不平等条約を飲まされた。香港をイギリスに取られたのも、この戦争に負けてからである。

阿片を売りつけられ、国富の元である銀を吸い上げられ、戦争にも負け、以後の中国は「眠れる豚」になり、中国に残ったのは阿片中毒者だけだった。

誰がそんな惨めな状態に清を追いやったのか。イギリスだ。そうやって奪い取った香港が、今では自由と民主主義の象徴になって中国共産党政権と対峙しているのだから、何か歴史の皮肉を感じさせる。

今でこそイギリスは「紳士の国」とか偉そうに言っているのだが、ドラッグで史上空前の富を手に入れた国が「紳士の国」とは笑わせる。ドラッグで稼いでいた悪徳国家であったことは、歴史の教科書にきちんと記載しておくべきだ。

ちなみに、こんな歴史を抱えていてもイギリスは責められることはない。戦争に勝ったからだ。

1999年のカンボジアの売春地帯では何があったのか。実話を元に組み立てた小説、電子書籍『スワイパー1999』はこちらから

1933年というのは、人類にとって悪夢の年だった

阿片は英語でopium(オピウム)という。オピウムはケシの実から取れる樹脂を乾燥させたものであり、ケシが栽培できれば誰でも阿片を採取できる。阿片は「ケシさえ栽培できれば誰でも採れる」ものである。

この阿片文化は中国南部に下って行き、やがて東南アジアにも伝播してゆく。東南アジアの阿片文化は、中国からやってきて定着したものである。

さらに時代が変わると、その阿片が精錬されて結晶化し、ヘロインとして現在は世界を駆け巡るようになっていく。部外者にはあまりよく知られていないのだが、ヘロインは阿片をより純度を高めたものであり、阿片が元なのだ。

ヘロインがはじめて売られるようになったのは1898年だが、その頃に問題になっていたのはモルヒネだった。モルヒネと言えば、麻酔薬として今でも知らない人はいない薬だが、ここにヘロインが加わった。

さらには、コカインもまた同時期に開発されている。そして、トドメを刺すかのように、1933年にはベンゼドリン=覚醒剤が市販された。

ところで、この1933年とはどんな年だったのか。1933年は、ちょうどドイツでアドルフ・ヒトラーがドイツの首相に就任した劇的な年だった。

裏の世界ではヒトラーの首相就任とまったく同じ年に覚醒剤が生まれ、阿片・ヘロイン・モルヒネ・コカインという、今でも現役の「ドラッグの王者」がすべて姿を現していた。

もしかしたら1933年というのは、人類にとっては後(のち)に巨大な災厄を生み出す「悪夢の年」だったのかもしれない。

ヒトラーは第二次世界大戦を引き起こして人類の歴史に大きな禍根を残し、ドラッグは今でも人類を蝕む巨大な害悪としてそこにあり続けている。

地獄のようなインド売春地帯を描写した小説『コルカタ売春地帯』はこちらから

最貧国が売ることができる最大の輸出品こそがドラッグ

1990年代まで世界最大のドラッグ製造拠点は、タイ・ミャンマー・ラオス国境の「ゴールデン・トライアングル」だった。現在では、アフガニスタンが世界最大のヘロイン輸出国となっている。

アメリカ大陸では、ラテンアメリカのコカインがメキシコを中継点にしてどんどんアメリカに流れこんでいる。ドラッグ製造拠点は最貧国、ドラッグの消費拠点は先進国。ドラッグ・ビジネスは今も昔もグローバルな流れでビジネスが成立している。

北朝鮮が密かに覚醒剤やその原材料であるメタンフェタミンを精製して大量に日本に持ち込んでいるというのも同じ構図だ。最貧国が売ることができる最大の輸出品は、紛れもなくドラッグである。経済が破綻した国であればあるほど、ドラッグの輸出が重要な産業になる。

ある意味、諸悪の根源であるドラッグが拡散しているのは、すなわち国と国の「格差」が生み出しているとも言える。これは「貧困層が金持ちに売ることができる唯一の商品がドラッグ」という構図とまったく同じだ。

ドラッグは法が整っていない国で作って、先進国に高く売るというのが最もシステマチックで利益が高い。だから、そのように発展している。そうだとすれば、グローバル化がさらに進み、複雑怪奇に絡みあって暴走していく今後も、同じ災厄が続いていくということになる。

特に先進国に人々の視点では、常にドラッグを供給する貧困国側(アフガニスタンやメキシコ)が悪いということになる。

「アフガニスタンや、メキシコのせいで、先進国の若者が悲劇に巻き込まれている。やつらを何とかしろ」

誰のせいでドラッグが蔓延しているのかの問いに、先進国の人々は「それらを製造・密輸する後進国のせいだ」と答える。しかし、それを求めているのは先進国であり、裏をかえせば先進国の問題とも言える。

需要があれば供給がある。それは単純なビジネスの法則だ。ドラッグもまた例外ではない。先進国の人間が求めるからドラッグが蔓延しているという答え方もある。ドラッグに大金を払う人間がいる限り、それはなくなることはない。

生物は快楽に弱い。ドラッグは快楽を約束する。快楽を求める人類は、必然的にドラッグから離れられない。ドラッグを撲滅させることは無理だ。

『GHQ焚書図書開封10: 地球侵略の主役イギリス(西尾 幹二)』。大英帝国の繁栄はインドへの暴虐、シナの阿片禍で築き上げられた

ブラックアジア会員登録はこちら

CTA-IMAGE ブラックアジアでは有料会員を募集しています。表記事を読んで関心を持たれた方は、よりディープな世界へお越し下さい。膨大な過去記事、新着記事がすべて読めます。売春、暴力、殺人、狂気。決して表に出てこない社会の強烈なアンダーグラウンドがあります。

一般カテゴリの最新記事