2013年11月より始まった反タクシン派の抗議デモは瞬く間にインラック政権を追い詰めていき、2014年5月7日インラック首相は失職した。
その後、タクシン支持派が大規模な抗議デモを再開させると宣言したが、反タクシン派と激突すればまたもや2010年のときのようにバンコクが市街戦のようになってしまう。
この事態を憂慮した軍は、2014年5月20日、タイ全国に同日午前3時をもって戒厳令(マーシャル・ロー)を発出することになった。
平和な日本人にとっては、「マーシャル・ロー」と言ってもそれが何を意味するのか、もう知らない人もいるかもしれない。
戒厳令とは、非常時に際して、通常の行政・司法権を停止して軍が一時的に統治権を掌握することを言う。つまり、5月20日よりタイのすべての政治機関は軍の支配下に入り、軍の命令によって動くことになる。
当然、テレビ、新聞、ラジオはこの日以降、軍の命令によって、政治的論評がいっさい禁止された。衛星テレビも遮断されている。