日本やアメリカのような普通の先進国の政府は、「5G」によって動画サービス・ゲーム・バーチャル・リアリティにいかに応用するかを検討し、その方向に向かって「5G」のサービスを拡充していくことになる。しかし、中国は違う。5Gが持つ100倍の通信速度と1000倍のトラフィックのポテンシャルは「より高度な人民監視」に使われる。(鈴木傾城)
プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)
香港で政府に抗議することすらも命がけ
技術は人間の生活を良くするためだけに使われるわけではない。高性能化するミサイル、ミサイルシステム、戦闘機、空母、潜水艦等を見れば、人間は大量殺戮のための技術を高度に発達させていることが分かる。
兵器や兵器システムが高度化するのは防衛のためでもあるが、兵器が高度化すればするほど国際社会が危険になっていくのは私たちはよく知っている。しかし、人類はそれを止めることができない。
また「高度ハイテク技術」は政府が誤った使い方をすると、国民を苦しめる元凶にもなる。今、最も懸念されていることがある。それは中国共産党政権が推し進める「管理・監視」のためのシステムの導入だ。
中国はウイグルを激しく弾圧しているのだが、このウイグルには監視カメラが街中に張り巡らされていて、ウイグル人を徹底監視している。
そして、少しでも中国共産党政権に楯突くような言動を見せるような人物は、すぐに逮捕されて中国政府が作り上げた「再教育キャンプ」という名の「強制収容所」に放り込まれる。
アメリカ政府はこれを激しく批判して、大儲けしている中国監視カメラメーカーである「杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)」を輸出規制リストに追加しているのだが、今や中国では監視システムは大いなる「成長産業」となっているのである。
中国政府は自分たちに楯突く人間を絶対に見逃さない。だから、監視システムはどんどん強化されて高度化していく。
中国共産党政権の横暴に強く反対して抗議デモを繰り広げている香港でも、中国政府の監視システムが香港市民を分析して、デモのリーダーや運動の関係者が逮捕・監禁・暴行されるような事態になっている。
これはもはや香港にいて政府に抗議することすらも命がけになるということを如実に示している。
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それが中国共産党政権の「技術の使い方」
中国の監視システムは、ウイグル人や香港人だけを対象にしているのではない。中国本土の全人民を監視システムの監視下に置こうとしている。
「全人民」というのは誇張でもなければ、SFでもない。本当に中国共産党政権は全人民を監視システムの対象にしようとしているのだ。
「天網(スカイネット)」と、それは呼ばれている。
2019年10月31日。中国政府と中国国有通信大手3社は、次世代通信規格「5G」の商用サービスを11月1日に始めると発表してる。北京や上海など50都市を対象に、年末までに13万カ所の5Gの基地局を整備することになっている。
中国政府が「5G」の導入を前倒しで導入を急いでいるのは、アメリカと激しいハイテク競争を繰り広げているので、アメリカに一歩先んじるためでもある。一刻も早く「5G」を立ち上げることによって、「5G」の世界市場を制覇しようとする目論みがある。
しかし、それだけではない。
「5G」は、超高速にして超大容量のパケットが扱える通信規格である。(フルインベスト:100倍の通信速度と1000倍のトラフィックを扱う5Gが社会を激変させる)
日本やアメリカのような普通の先進国の政府は、「5G」によって動画サービス・ゲーム・バーチャル・リアリティにいかに応用するかを検討し、その方向に向かって「5G」のサービスを拡充していくことになる。
しかし、中国は違う。
5Gが持つ100倍の通信速度と1000倍のトラフィックのポテンシャルは「より高度な人民監視」に使われる。
中国政府が「5G」の導入を前倒しで導入を急いでいるのは、人民監視システムである天網(スカイネット)を高度化させて、よりきめ細かく人民監視を推し進めるためでもある。それが中国共産党政権の「技術の使い方」なのだ。
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「社会信用スコア」という監視
日本のITメディアは中国の巨大ハイテク企業ファーウェイのスマートフォンに提灯記事を付けて「ファーウェイのスマートフォンのカメラ技術が向上した」みたいな下らないことを書いて喜んでいる。
アメリカが自国から排除しようとしている中国ファーウェイは、中国共産党政権がバックに付いているスパイ企業であるという認識を持って対処しているのだが、日本のITメディアやキャリア(ドコモ・AU・ソフトバンク)はまったくそのような認識を持っていない。
ファーウェイの技術が高度化するということは何を意味しているのか。
それは、人民監視がより高度化するということなのである。アメリカが排除しているファーウェイやZTEという中国企業は、人民監視システム「天網(スカイネット)」に技術協力している。
そう考えるとファーウェイの技術が高度化しているということは、それがそのまま人民監視システムの高度化であると気づかないといけないのだ。中国は着々とそれを進めており、天網(スカイネット)は中国全土に張り巡らされていく。
そして、中国本土に暮らす人たちは監視された結果として点数(スコア)で判断されるようになる。
中国はこれを「社会信用スコア」と呼んでいる。
中国共産党政権は全人民を公務を正しく行っているか、正しい商取引を行っているか、正しい社会生活を送っているか、法律は守っているか、等々で人民を点数付けする。そして、社会信用スコアが高い人には行政のサービスを優遇し、そうでない人は行政のサービスを与えないような社会を構築する。
たとえば、毎月きちんとクレジットの返済をしているとスコアが上がり、そうでないと下がるとか、ボランティア活動をするとスコアが上がり、問題行動を起こすとスコアが下がるというものだ。
これで中国人の行動が制御されて正しい行いが増えるのであればいいのではないか、と思うかも知れない。
問題はそこではない。
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「ITを使った独裁政治」
全人民を監視し、社会信用スコアで国民を点数付けし、それによって「全人民が良識ある行動をするように促す」というのは言って見れば中国共産党政権の表向きの理由であると言える。
この「社会信用スコア」の問題は、それを統括するのが中国共産党政権であるということだ。
それは即ち、中国共産党政権の決めた政策やルールに反する人間や、中国共産党政権の不正を暴く人間や、中国共産党政権に都合の悪い言動をする人間や、政敵になりそうな人間や、失墜させたい人間を、政府の都合でいくらでも落とすことができるようになるということだ。
政府に楯突いたら、一瞬にして行政サービスから排除されて切符一枚ですらも買えなくなってしまう。政府に従順になったら特典が受けられる。「社会信用スコア」は中国共産党政権への絶対服従を強いるシステムになるのである。
これが中国社会で着々と取り入れられて運用されている。まさに「ITを使った独裁政治」である。
実際に、中国共産党政権に批判的な記事を書いたジャーナリストが社会信用スコアを落とされて航空券が購入できなくなったという事例もある。中国共産党政権がその気になったら、いつでも批判者の社会信用スコアを落として「二級市民」にしてしまえるのだ。
中国は「高度ハイテク技術」を独裁政治の維持のために使い、国民を弾圧できる体制を刻々と整えつつある。
私たちが中国大陸に足を踏み入れるというのは、まさに中国の監視体制に入って中国共産党政権に自分の情報をすべて受け渡すということに他ならない。私たちが不用意に中国に行ってはいけない理由がここにある。
まして、中国に批判的な人間は絶対に入ったら駄目だ。
中国共産党政権は私たちの常識をはるかに超えた危険性を持っている。監視システムに組み込まれたくなければ、中国には行くべきではない。中国政府は、その気になればいつでも誰でも拘束し、逮捕する能力がある。
鈴木さんの認識はまだまだ甘い!
中共はソフトバンクと組んで日本に浸透しようとしている。
PayPayに登録したらアウト。
中共に個人情報全部を盗まれる。
日本にいても安全ではないよ?
天網(スカイネット)まさしく「天網恢恢疎にして漏らさず」ですね(笑)
いや、笑ってる場合じゃない、中国はどこまでも恐ろしい国だこと。
スカイネットと言えば映画のターミネーターを思い出すな〜。
ひょっとしてターミネーターは中国製だったのか?(げんなり)
1989年の天安門事件後の対応では、
中国政府の必死の追跡にもかかわらず
学生運動の首謀者達の国外逃亡を
許してしまった。まずは、この轍を踏まない
ようにしたかったことから着手したと
思えるが、大変な監視網を作っている
のにはあきれ返ってしまう。
入国した時点で顔写真とパスポート番号をKEYに
indexが作られるんでしょうね。
ゲートをくぐって沢山のカメラを見たときに思いました。
もう遅いけど。