野生の動物は、なかなか人に慣れない。なぜか。野生の動物は生き残るために「強い警戒心」を持っているからだ。
「自分に出会う生き物はすべて自分に害を為す」と思っていないと、自分が不意に出会う動物のエサになる。野生の世界では「知らない生き物はみんな友達」などと言っている場合ではないのである。
気を許した瞬間に、あるいはスキを見せた瞬間に、相手に襲われて食い殺される。一瞬でも長く生き延びたければ「強い警戒心」を持たなければならない。
飼いならされた家畜と野生動物の違いは、環境のシビアさが影響している。だから野生の動物は人に慣れなくて当然なのである。
ところで、人間社会は別に出会う相手、新しい環境のすべてに、それほど強い警戒心を持たなくてもいい安全で安心できる社会を作り出した。
とは言っても警戒心はまったくゼロでは、世の中の落とし穴にはまってどん底にまで転がり堕ちる。「ちょっとした警戒心」はいつの時代でも必須だ。
しかし、すべての人が「ちょっとした警戒心」を持っているというわけではない。